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5.ところで、MILスペック改革について教えてください。


米国国防省は1994年に当時のペリー国防長官による「新しいスペック・スタン
ダードのあり方」と題する通達をしました。これがいわゆる「MILスペック改革」
の原点と呼ばれています。

この序論で「米国政府は将来のために国を挙げて民間の最先端技術の導入
と民生品の採用、そして官民の統合による安価で防衛ニーズにあった産業
基盤の拡大を目指す」とあります。この新しい方向性以上に重要視されたこと
が「国防省およびその付属機関における従来からの慣習の打破」にありました。

米国とて長い慣習の裏には改革せざるを得ない温床がありました。そのひとつ
に従来からのMILスペック環境における慣習がありました。特殊ゆえに硬直化
した組織や機能、そしてこれにより産業は停滞し、不要なまでの性能や形式化
された試験方法や監督検査などすべてが温存されていたのです。そしてなに
よりもお金がかかることが大きな問題でした。

改革された主な内容を見ると、不要なMILスペックは段階的に廃止し、代わり
に民間規格を登用しました。民間規格を採用するということはMIL品から民生
品に切り替えるということです。またできるだけ随意契約を避け、競争入札制
度を取り入れています。また、MILスペックを流用する場合も、出来るだけ参
照源を減らし、従来からの「プロセスを指定した」考えから「結果」のみを問うよ
うな形式に変更しました。MIL性能スペック(Mil Performance Spec)はこの
代表例です。

このように、米国は国家事業としてMILスペックを含む標準化(Standardizat
ion)改革に挑み、不要な贅肉や老廃物を削ぎ、現在の西暦2010年計画はも
とより300年後に向けて、多くの先人が成してきた遺産を大切に継承していか
なければならないとしています。改革後5年経った現在では、当初の目的は
達成したとの話ですが、新しい指針に沿った計画が次々に実行に移されて
いるようです。