DataCraft

Topics

スペック情報の備蓄について

2007.3.6

昨今の国際紛争に端を発して、日本の「有事論争」や「危機管理」の話が復活している。どうも、話をするだけでなかなか進まないのが玉に瑕の国民性である。今回はあるユーザミーティングでの「やりとり」から昔オイルショックの時に「石油備蓄」が大きな問題となったが、石油備蓄ならぬ「情報備蓄」についての話がでた。今後のMILスペックの在り方等も含めて紹介する。

ユーザの「即応性」ついて
DODのホームページ「ASSIST」は、MILスペックの最新版文書の入手において長所があるが旧版文書はまだ底が浅い。しかしながらユーザにとっての問題は常にコストとその費用対効果である。どのユーザも、限られた予算で如何に多くの利用ニ-ズに対応させるかが問われているが、全ての利用ニーズに対応するところまでは行っていないのが現状である。日本のMILスペック・ユーザは利用方法が限定され、また頻度もそれほど高くないため、いわゆる割高になっており、今後とも「利用ニーズにフィットした」サービスが求められていくものと思われる。
 
常備スペックの管理について
ISO9000等で謳われる情報の共有化と最新化は、MILスペック・ユーザにおいても重要な課題となっている。どのユーザを調査しても、「古いままの常備スペック」がそのまま置いてあるケースが多い。この理由のひとつに上記の「閲覧即入手」の功罪が挙げられる。このサービスで、ユーザの社内的なスペック管理は2次的となり、必要性が薄れたことが原因である。もちろん「スペックの版指定」契約が基本であることも最新版不用の原因であるが、明らかに即応性のあるサービスの利便性で事足りてしまったからであろう。
確かに多数の常備スペックの見直しは、ユーザにとっては頭痛の種である。しかし一方では、放置しておくリスクも徐々に高まっている。特に1994年のDODによる「取得改革」以降、古い思想のMILスペックをやめて、安くて、合理的な民間規格を登用する動きが活発になった。従来からのMILスペックも性能スペック重視に変ってきた。最近では最新情報や代替情報はもはや避けられない流れとなってきている。
 
改めて問われる情報の危機管理
あるユーザから公共スペックの借上げサービスやDODのASSISTの利用ではいざというとき、手元には何も残らないというリスクがあるとの発言があった。これでは、いざというときはどうしようもない。という意見である。確かにユーザの危惧する何らかの理由で提供や供給が停止したとき、どう考えるかは大切なことである。それでも必要スペックの運用が求められるからである。
そこでユーザにとって必要な常備スペックは全て備蓄(買取)しておくということが重要な選択となる。そうしておけば常時手元には備蓄されているわけで慌てることはないという考えである。考えてみれば、このような考えは平事には無用であるが、有事の際には大変重要となる。「備え有れば憂い無し」である。弊社ではこのようなユーザが必要スペックを全て備蓄しておくことを積極的に応援している。
スペックの旧版対策はできているか。
必要スペックの備蓄に欠かせないのがスペックの旧版対策である。上記のように最新版の入手は簡単であるが、旧版となると探さないと入手できない場合がある。そこで弊社ではこれら関連するスペック旧版を1940年代に遡って提供する努力を続けている。現在生きているスペックは3万件程度であるが、ほとんど全てのスペックには旧版が付随しておりその数は生きている件数の数倍に達している。また、現在では廃棄されたスペックは10万件にも達しており、これらのスペックにも過去の旧版が付随している。現在においてもスペック・ユーザはこれら旧版スペックの管理・運用が求められているのである。
 
スペック単位の「縦」サービスの重要性
また弊社では、個別スペックの運用時における調査やコンサルティング・サービスを大変重要視している。例えばユーザが新たに個別スペックを求められたり、また従来のスペックが廃棄され、代替されたりする場合、直面する問題をユーザに代わって調査したり、あるいはDODのスペック担当者からアドバイスを入手することで評価を得ている。
スペックが廃棄されたために、部品調達先がわからなくなり納期に大きく影響しそうになったケース、発注したにもかかわらず、スペックの改版により納品された物品が検査で通らず、ラインが停止しそうになったケース、スペック廃止により、記載されたシステム自体の運用に判断がつかなくなったケースなど、スペック・ユーザにとって直面する問題は後を断たない。また最新版動向や関連スペックの入手といった問題もでてくる。
このような個別のサポート業務こそがユーザに大きな便宜を与え、結果として目に見えない利益を与える重要なリファレンス・サービスであると実感している。このような話題がどんどん広がって、お互いに享受し会えるようになることがまさに弊社によるサービスの醍醐味とするところである。