STANAGの入手について
2007.12.2
NATO-STANAGの入手についての問い合わせが跡を絶たない。そのほとんどが昔入手できたからというのと、MILスペックに呼び出されたのでその最新版が必要になったためというのが理由である。しかし残念ながら大半のSTANAGは現在の日本では入手ができない。STANAGの発行元であるNATOの標準化政策が米国の指導により大きく転換したためである。今回は改めて現在のSTANAGのありかたとその入手について紹介する。
STANAGとは
NATOのMILスペックであると思えばわかりやすい。STANAGはいわゆる物品などを取得・調達する際の仕様書など標準化文書である。米国防総省(DOD)によれば現在アクティブなSTANAGは1961件で
あるとされているが公開されているのはそのうち14件しかない。即ち一般公開されているSTANAGは配布レベルA(DisributionLevel:A) であり、残りは全てNATOの許可が必要な配布レベルC(Distribution
Level:C)となっている。STANAGは古くは現在のMILスペック同様自由に入手ができていたが標準化文書としてのSTANAGは更新が行き届かずデータの最新性に問題があった。DODは古くからSTANAGを
ISA(国際標準化条約)のもとMILスペックなどとともにMILスペック公式サイトで紹介してきたが、近年新たなるNATOとの標準化協定等新しい枠組みのなかでその内容を大きく変更あるいは更新させている。
DODとNATOの標準化政策の統合とSTANAG配布の規制
米国はNATOとの標準化政策において正式調印したことで数多くのDOD政策がNATOの標準化政策の遅れに歯止めをかけたとしている。これはすでに周知の事実であるがイラク戦争をはじめとする多くの米軍との共同戦線においてNATO軍における物資や後方支援の実態がまことにお粗末であった。そこでアメリカはNATOとの協調体制の強化のためにDODとNATOの標準化政策の統合(共通化)を強化し「てこ入れ」を図ったわけである。なかでもSTANAG(NATO標準化文書)の強化、MILスペックとの連携や共同運用(Interoperability)、NATO加盟諸国の国家規格や民間規格との連携の強化を図った。
標準化こそが同盟国にとって重要
アメリカはNATO標準化政策に深く関与し、JSB(Joint SrandardizationBoard)ワーキング・グループが命題を与え、新たに変革された標準化要求に対する戦略提案を掲げている。またJSBはNATOに参画する同盟諸国に対して数々の支援策を提供するとしている。JSBは「標準化こそがほとんどすべての国々や同盟国にとって重要である」と提言している。そこでNATOの標準化文書であるSTANAGをMILスペックとの共通運用性を高めるために大きく改革した。現在STANAGに関して日本はNATO関係国でもまた支援国(Sponsored Country)でもない。日本の防衛航空宇宙産業にとってSTANAGはともかくMILスペックを将来ともども必要不可欠な産業の米としている限りJSBのいうとおり日本も早く標準化政策の共通化実現を望むところであるが、地味で専門的な分野であるだけになかなか理解されなく、また運用上においての言語や習慣など西欧文化との違いが大きな障壁となっているのが現実である。
現在入手可能なSTANAG
DODによれば本日現在STANAGは1961件存在するが、公開が認められているSTANA(DistributionレベルA)はわずかに14件で、その他はすべてCDD(DistributionレベルがC)として一般の配布が制限されている。なお、これら新しいNATO文書はSTANAGをはじめすべて英語版とフランス語版が用意されている。こういった国際標準化という枠組みは記述に大きく影響され、英語は万国共通語としてデファクトスタンダードであるがフランスや英語を母国語としない他の同盟諸国にとってどのような標準化体制を敷いていくのかは今後の課題である。そこで以下に現在入手可能な公開公開が許されたSTANAGを紹介するが、これらはすべて新規にあるいは近年更新された文書で、内容は自然や環境および人間に影響する標準化政策お反映させたものが主体となっている。(STANAG入手情報は別途お問い合わせください)
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