MMPDSの最新版管理について
2007.12.4
2004年5月において過去65年もの間、世界の航空機や宇宙ロケット開発に欠かすことのできない金属材料データの宝庫であったMIL-HDBK-5が最終版のJ版をもって廃止され現在はMMPDS(Metallic Materials Properties Development & Standardization)としてその第3版(MMPDS-03)に引き継がれている。MILハンドブックの時代は無料で誰でも入手ができたが現在では有料文献として米国バテル社が販売をしている。国内ユーザはMMPDSの最新版管理を義務付けしており弊社では常時モニタリングをするとともに最新版MMPDSの入手を推奨している。ここでは改めてMIL-HDBK-5がMMPDSに至った経緯を報告する。
MIL-HDBK-5J廃止のお知らせ
航空宇宙機器建造のための金属材料ハンドブックMIL-HDBK-5J(発行2003年1月31日)は2004年5月5日をもって廃止された。今後の取得についてはDOT/FAA/AR-MMPDS-01「金属材料物質の開発と標準化」を参照されたい。しかし利用者は個別の適用に際してはMIL-HDBK-5Jの代替文書として十分に注意し吟味されたい。
MIL-HDBK-5廃止の事前通告
DODとFAAの全ての部門においてこのハンドブックの利用が認められるがMIL-HDBK-5J版はMIL-HDBK-5の最終版である。今後MIL-HDBK-5Jは、FAAで維持管理される「金属材料物質の開発と標準化ハンドブック」の第1版であるMMPDS-01と同一である。FAAはMMPDSの年間更新と改版を計画している。結果としてMIL-HDBK-5Jは2004年の春に廃止される計画でありその時点でMMPDSハンドブックに移行されることになろう。
今回の廃止と移行について
MIL-HDBK-5については、ご存知の通り有史以来金属材料の特性を「包括的に」示した文書として、最も信頼され広範に利用されている公式技術文書であった。金属材料は「現代の精練技術」によって
極めて安定した値にまで高められたとのことであるが統計的には必ずしも十分なデータが得られるわけではない。また試験の方法もさまざまで統一されていない場合もあった。このMIL-HDBK-5には数多く
の詳細なデータが示されており特に宇宙航空機器の設計開発担当者にとっては将に信頼に足る金属材料の情報をまとめたデータベースとして広く用いられてきた。DODは他のスペック同様に既に早くから
自らが維持管理することを止めFAAに全てを委ねたわけであるが今後FAAがこのMMPDSをどのように
維持管理していくのか注目されている。なおMMPDSは現在01,02,03版までが発行されている。