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【韓国企業がわが国制空の一翼を担う】

2011.10.16

ー米空軍と大韓航空、嘉手納F-15戦闘機整備で全面契約ー
先ごろ行われた米空軍の発表によると、日本の嘉手納米空軍基地に配備されているすべてのF-15戦闘機は今後5年間にわたり韓国の大韓航空が補給処整備(デポ・メンテナンス)を執り行うことで、正式な調印がこの9月21日にロビンス米空軍基地内で取り交わされた。契約額は4億7300万ドル。

米空軍により発表された内容によると、今回の契約の特長は従来からの米国政府(米空軍)管理に基づく装備品契約から契約業者(大韓航空)が全面的に装備品管理を請負うパートナーシップ契約に変更された点にある。これは1982年以来F-15整備を経験してきた大韓航空の実績が大きく評価された結果であり、全面的な契約業者の権利と責任が問われるいわばPBLあるいはPS(プロダクト・サポート)によるパートナーシップ契約と思われる。
これにより今後、沖縄嘉手納基地に配備された54機すべてのF15戦闘機の整備は全面的に韓国プサンの大韓航空によって維持管理・整備が図られることになる。しかしながらわが国の嘉手納基地に米空軍が配備するF-15はわが国防空、制空の重要な一翼を担っており、今回の韓国民間企業による維持管理・整備契約はわが国のロジスティクス態勢の立ち遅れを象徴する衝撃的な出来事であり、強いてはわが国の制空態勢のひづみを露呈した結果ともいえる。武器輸出三原則の見直しと共に、今後速やかにわが国の官民一体による整備維持能力の向上を図り、且つ米国を中心とする同盟諸国との次世代ロジスティクス態勢の共有化は今後のわが国安全保障上の重要な課題となる。また現在航空自衛隊が選定を進めているFX機の整備維持管理についても自国の能力において取り行えるよう早急な態勢づくりが必要になろう。
T2韓国の攻勢
ところで最近マスコミはFTA問題などにより米韓のより密接な関係を浮き彫りにしているが、装備品ビジネスやロジスティクスの分野においてはかなり以前から韓国の積極的な行動が目についていた。弊社ブログにおいても2年前には以下のような内容の記事を掲載している。(DCメール 2009年5月15日 No.245)
2008年11月、会計検査院が装備品の輸入価格算定に新たな指摘をしたことで、防衛省はもちろんマスコミ各社もFLIS( フリス )米国連邦兵站情報システムやそのインターネット版であるWebFLIS( ウェブ・フリス)を始めて取り上げたことはDCメール237号で紹介した通りである。
改めて言うまでもなく、今や世界のロジスティックス情報システムの潮流はNCS( NATO Codification System )を取り込むことにあるとされている。このNCSは米国のFLISを原流としており、NATO加盟国はもちろん、非加盟国である隣国、韓国なども既にTIER2(T2)国として加盟国と同等の兵站情報システムの運用に力を注いでおり、他のアジア諸国の模範として大いに活躍しているのが現状である。
これは最近耳にした話であるが、現在わが国が輸入する代替装備品に韓国製品が多く見受けられるようになってきた。これはまさに韓国はそのために10年以上の月日をかけて、TIER2国として世界中の国々の装備品需要に対応することが可能になってきたと認めざるを得ない。
TEIR2国とは自らの製品や部品を世界の装備品市場に供給することができるからだ。あの米国がFLISをもってして膨大な装備品輸出を行なっていることは誰もが認めるところである。そこに韓国も参加し始めたわけである。否、NATO諸国はNCSをもって自国の装備品登録を行い、自国需要はもとより、対外的に競い合っているのが現状である。
しかし、今のわが国がこのようなレベルになるためには少なくとも10年はかかるといわれる。残念ながらわが国は多くの装備品メーカーを抱えているにも関わらず、この現状を甘受するしかない。少なくともいままでこのような事態を放置してきたツケは今後、益々重くのしかかってくることは必至である。
わが国はいまだにNCSに参加していないのでまずはTIER1国として各国との情報共有をすることが先決であるが(注)、わが国の優秀な装備品を海外に提供することができるTIER2レベルとなると、そうは簡単ではない。防衛省を中心とした官民一体のシステム統合、カタログ品登録、審査、各国との連携などいわゆるNCBの設立が要求されるからで、簡単ではない。しかしすでに世界の主要諸国を含む56か国のLIS( ロジスティック情報システム )が確実に統合化し、一元化しつつある現在、これ以上日本が取り残されることが、将来どのような問題を引き起こすことになるのかを十分に検証しておかなくてはならない時期に来ている。
(注)今年4月にNCSに参加しTIER1国となった。