【国防総省お墨付きMIL-STD-810準拠品】
2012.2.14
-超堅牢性をうたう民間製品の戦略ー
この少し大げさな見出しは最近売り出したスマホ用ケースの宣伝(うたい)文句である。MIL-STD-810は防衛装備品のための温度・湿度、高度、振動、衝撃など過酷な環境条件に即した試験室による試験規格であるが、昔から民間製品の高信頼性化のためにも大いに役立ってきた。MIL-STD-810は車載用機器やノートパソコンなどヘビーデューティ商品として耐衝撃性や耐振動性強化をうたってきた。今日、民間製品は益々軽・短・薄への画期的な技術革新も手伝ってさらなる屋外利用(フィールド・ユース)に多様化している。そこで堅牢さを売り物にする多種多様な民間製品がこぞってMIL準拠品としてMIL-STD-810の研究に余念が無い。今回は高信頼性をうたう民間製品のMIL-STD-810準拠戦略を追ってみた。弊社にもMIL準拠品を研究するメーカからの問い合わせが多い。( DCメール 2012年2月15日 No.311)【追記】その後MIL-STD-810Gは変更された。詳しくは2014年11月16日付ブログhttp://http://www.datacraft-news.com/ontopics/345.htmlを参照ください。
■MIL-STD-810準拠品ブームの到来か。
まずは各メーカのMIL-STD-810準拠品の宣伝文句を紹介する。なおここでは単に事例としてそのまま紹介するものであり、その内容や表現について論ずるものではない。
■厳密かつ過酷な仕様として有名なMIL規格(アメリカ国防総省が規定する米軍採用品規格 Military Specifications and Military Standards)に準拠した耐久性・ 防滴性・防塵性を備えており、通常の用途ではまず壊れることがないといっても過言ではない堅牢仕様となっている。
温度試験 ・動作温度: -20°C ~ 60°C ・非動作時: -30°C ~70°C
温度衝撃試験 ・急激な温度変化に耐えることができること
湿度試験 ・暖かく高湿度な環境に耐えることができること
衝撃試験 ・衝撃に対して耐えることができること
落下試験 ・鉄に1.52mから26回落下に耐えることができること
振動試験 ・振動に対して耐えることができること
■耐久性に優れ、米国の軍用規格(MIL-STD 810G)のテストでその強度が実証されたボディ、粉体塗装の底部、防水設計キーボードなど、全体をスタイリッシュに強化。
■ヘビーデューティなGPS内蔵PDA
MIL-STD-810G準拠した厳密かつ過酷な仕様として有名なMIL規格(アメリカ国防総省が規定する米軍採用品規格 Military Specifications and Military Standards)に準拠した耐久性・防滴性・防塵性を備えており、通常の用途ではまず壊れることがないといっても過言ではない堅牢仕様となっている。
■携帯端末の軍事利用
米軍の軍事規格MIL-STD-810に適合させることによってタフさをアピールする民間用携帯はいくつか出ている。米国向けの携帯電話もMIL-STD-810 Rev.Fに準拠している。動作温度:-51℃から+49℃。保存温度:-51℃から+71℃。耐水性(防沫、防滴であり水中使用は想定外)クラッシュ・テストPeak Acceleration 75g で 8から13msec 80Hzの周期で+75Gと-75Gのショックを13msecかけ、9.1Kg以下の製品なら76cmからの落下と7.72m/secのショック保存時は1.22mからの落下。MIL-STD-810では、この他にも、稼働時の耐衝撃性Functional Test for Ground Equipmentなどの各種テスト基準が規定されている。極地から熱砂の地までどこでも動作し、軍人が乱暴に投げ飛ばしながら輸送しても壊れない仕様を要求しているようである。
■米国国防総省の軍事品に採用する性能試験の一種。
当社技術実験室において下記の試験を実施、試験後も正常動作することを確認。 (注)本試験は記載の条件下における商品の無破損、無故障を保証するものではない。
【自由落下試験】(非動作時:合板) MIL-STD-810G 各面・辺・角の計26方向に対し、120cm落下、90cm落下を実施。
【耐振動試験】(非動作時) MIL-STD-810G 前後・左右・上下に1時間かけて振動を与えつづける。持ち運び及び車での移動時の振動を想定 20Hz~1000Hz:0.04G2/Hz 1000Hz~2000Hz:-6dB/オクターブ1時間/軸(前後、左右、上下)
■アメリカ国防総省が制定するアメリカ軍の物資調達規格MIL-STD-810Gに準拠した専用ケースを限定で発売する。
■MIL規格準拠
アメリカ国防総省が制定したMIL-STD-810G Method 516.6-Shockに準拠した独自規格において、高さ1.22mから合板(ラワン材)に製品を閉じた状態で26方向で落下させる試験を実施している。
■衝撃の実験ビデオをご覧ください★
注意。これらのテストは参考のために実施しているものである。絶対に壊れないことを保証しているわけではないのでご注意ください。また、ご自身でテストをされる場合は自己責任において実施してください。
■米国の軍用規格(MIL-STD 810G)テスト済なら、極度な温度差、振動、ほこり、および高度な場所での使用からマシンを保護している 。
■アメリカ国防総省が制定した、アメリカ軍が必要とする様々な物資に対する調達規格で、規格MIL-STD-810Gは気圧の低い場所での操作(4000ft,7000ft)や、燃料が気化した状態での使用、塩水噴射など、様々な耐久テストに合格したものに与えられる規格である。
■MIL-STD-810Gとは
現在におけるMIL-STD-810の最新版は2008年10月31日に改訂されたG版である。800ページを超える膨大な規格文書で、第1部、第2部および第3部からなっている。旧版となったF版に比べて説明が豊富で、また試験方法も追加され、上記のような温度・湿度、高度、振動、衝撃試験を含め29種類にも及ぶ。
規格ユーザは自社の装備品あるいは製品の特性に合わせて試験方法を選択することが出来る。また日本国内にはMIL-STD-810Gに準拠した複数の民間試験施設があり、ここで基準をクリアした製品はMIL-STD-810GのXXX試験に準拠したことを製品仕様書や説明書に記載してその製品の信頼性をアピールしている。
MIL-STD-810はもともと通信機器や計測器、コンピュータ、携帯端末など精密装備品のうちフィールド・ユースにおける堅牢さをうたってきたが、ここにきてあらゆる分野の製品のうち特に堅牢さを売り物にする従来製品との差別化としてMIL-STD-810準拠品が出回り始めている。弊社ではこれらMIL-STD-810に関する調査依頼や翻訳などをうけており、今後とも多くのニーズの発掘に努めている。そこでここでは改めてMIL-STD-810Gで紹介されたこの規格の目的や用途について簡単に紹介する。
■目的
この規格は防衛装備品あるいは民間製品の環境応力(ストレス)の影響を検討するために用意されたものである。具体的には調達契約や工学的な試験方法について成果(パフォーマンス)に基づいた環境調製(テイラード)のプロセスについて言及している。またこの規格は3部構成からなっており、各部では装備品等が設計、試験および評価における環境条件を調製することが謳われている。
■用途
体系的にみて様々な環境要因は、装備品の耐用年数にわたって特定の有害な影響を考慮しなければならず、MIL-STD-810では防衛や民間用に開発された全ての装備品や製品に適用される調達や資材の変更およびユーザとの相互運用性のニーズを満たす共同開発の機会を与えている。
この規格の第1部では、衝撃や振動等環境応力に耐えられるシステムを取得するための規準に合わせたアプローチを展開している。また環境工学の観点からユーザのニーズを満たす装備品や製品を取得するための基本的なプロセスを図解している。
第2部は、個別環境向けに調製されたプロセスとして不可欠な部分である。調製(テーラード)については、環境応力データや臨床検査方法などが含まれている。各方法に含まれる環境データは補助となるが、その耐用年数を通じて遭遇する環境応力を定義するために排他的に使用すべきではないとしている。また特定の材料とその定義されたライフサイクルに合わせて分析や試験にエンジニアを支援している。
第3部は、気候条件の現実的な検討のための計画ガイダンスを提供し、世界中での様々な気候地域でのライフサイクル全体で使用される材料の開発、試験、および評価などを取り上げている。それはこの規格が意図した使用の分野で、そのライフサイクルを通じて発見される可能性が高い環境条件の下で適切に実行する材料開発の目的を達成するのを助けることを意図している。
【追記】その後MIL-STD-810Gは変更された。詳しくは2014年11月16日付ブログhttp://www.datacraft-news.com/ontopics/345.htmlを参照ください。
【お願い】本誌の性質上、出来る限り日本語にしてお伝えしているが、適訳であるとは限らない。また、紙面の都合上全ての原文を引用できない場合がある。なお、本誌は参照情報源としてだけ使用されるものであり、完全性や正確さを保証したり主張したりするものではない。また本誌に記載された内容を無断で引用または転載することは禁じられている。