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【グローバル・ロジスティクスとNSN】

2013.8.30

-グローバル・ロジスティクス情報調査(GLIS)サービスー
挿絵(注)はロジスティクス・システムの欠陥を皮肉った有名なマンガである。わが国でも輸入する防衛装備品が不良品や欠陥品であったりまたMILスペック品の枯渇による代替品問題が後を絶たない。現在世界の防衛装備品は欧米を中心とした世界の66カ国がお互いに共通した装備品システムを運用するグローバル・ロジスティクス(GL)という概念がありNSNと呼ばれる共通した装備品番号体系が存在する。弊社はこういったGLやNSNにまつわる輸入装備品が抱える数々の問題を解決するためにグローバル・ロジスティクス情報調査(GLIS)サービスを展開している。詳細については小冊子あるいは弊社までお問い合わせください。( DCメール 2013年9月1日 No.348)

■グローバル・ロジスティクスとNSN
現在世界の防衛装備品はNATOによるNCS(NATO装備品カタログ)である。NCSはNATO諸国のみならず、アジアやアフリカを含む世界の66カ国から1700万件もの膨大で詳細な装備品情報を提供し2700万件ものメーカー品をリアルタイムで掲載している。そしてこれら装備品には共通した13桁のNSNと呼ばれる物品番号を採用しているのである。このNSNは後述するが単なる番号ではなくTIRと呼ばれる品名やメーカ部品番号、代替品データ、参考価格、物理的性能特性、梱包データ、特殊取扱データなど各種データを記録した装備品のライフ・サイクル・ロジスティクスデータとして活躍している。
ところで海外から輸入される多くの装備品は全てこのグローバルな装備品システムにより一元管理されているがわが国ユーザが輸入する装備品が納入検査において不良品や欠陥品扱いされる問題やMILスペック改訂による代替品の枯渇問題が後を絶たない。こういったわが国固有の輸入装備品にまつわる不具合問題を一掃しなければならないがそのためには装備品ユーザのひとりひとりがこのグローバル・ロジスティクスやNSNを正しく理解する必要があるのだ。
またこのGLやNSNを語る上で米国防総省(DOD)が提供するWebFLISを外すことはできない。WebFLISは調達計画の迅速化、調達価格の低廉化および調達企業の機会均等化など調達改革の一環としてDODが提供するロジスティクス情報サービスとして世界中のユーザが認める公式情報である。2006年にWebFLISは大幅にその機能が強化され誰でも自由に米国政府やDODによる調達物品の互換品情報や調達業者情報などの最新情報をリアルタイムで入手できる世界で初めてのインターネット版公式情報となっている。詳しくは以下のURLを参照ください。
http://www.dlis.dla.mil/webflis/pub/pub_search.aspx
なおNATOは米国の支援により2005年にNATO装備品システム(NCS)としてNMCRLデータベースを構築したがその後ウェブ版を強化した。現在ではその最新版(Web2.0版)を世界中の政府機関および民間企業向けに提供する世界最大の装備品データベースとなっている。詳しくは以下のURLを参照ください。
http://www.nato.int/structur/ac/135/nmcrl/nmcrl_e/index.htm
■弊社では永年に渡りFLISやNCSを通じて米国やNATOと交流を深めてきたがここにグローバル・ロジスティクス情報(GLIS)調査サービスを展開することでこれら輸入装備品が抱える問題を解決している。GLISサービスやNSNの詳細については小冊子あるいは弊社までお問い合わせください。
■WebFLISやNMCRLと上手に付き合う方法
防衛装備品を米国から取得する場合FMSであれDCSであれCAGEやFLISに記載されるメーカコードや部品番号と海外メーカから直接あるいは商社経由で入手する実際の見積や注文書類上の番号と異なるケースが頻繁である。また部品番号だけではなく形状や色、版など基本的に注文とは違ったあるいは注文自体が間違った部品調達がおこなわれるケースが後を絶たない。これらは明らかに無駄な取得費用としてコストや時間、そのうえ取引先との信頼性を失う事態が発生している。
■NSNの意味を改めて紹介する。
ユーザであればだれでも電話番号システム については知っている。NSNは電話番号と同じである。電話番号の3つの個別部分は最初が市外局番であり第2の部分は交換局番また3番目は固有の番号である。NSNも同様であるが6240-00-3577976のように13桁からなる。最初の4つの数字は補給分類( FSC )として知られている。例えば6240は電灯用のFSCで例えば蛍光灯や白熱灯、水銀灯およびナトリウム灯のように同一物品をグループ化するために使用されている。また2番目は2桁からなる国別番号で00は米国、日本は30である。注:日本はNATOが主催する制度に加盟したが現在は国産品登録を行っていない。
■NSNに埋め込まれた各種要素データ
NSNには装備品を定義するための広範囲なロジスティクス・データが埋め込まれている。これらのデータには品名、メーカ部品番号、代替品データ、価格情報、物理的性能特性、梱包データ、特殊取扱データ、保管データ、在庫期間データ、廃棄処分データ、その他管理データである。そしてNSNのライフ・サイクルにわたってメーカの移動や価格の変動、部品番号の変更、その他装備品の支援やロジスティクス・データや特性に影響する最新情報を登録するために常時データ更新されるのである。現在各国で登録されるNSNは当然ながら共通したデータ構成を保持しておりその主なデータ・セグメントは次のと
おりである。
●セグメントA    装備品識別データ
●セグメントB    管理機関データ
●セグメントC    代替品、スペック品等データ
●セグメントE    標準化データ
●セグメントG    輸送データ
●セグメントH    価格、保管等管理データ
●セグメントK    廃棄データ
●セグメントM    技術特性データ
●セグメントW    包装データ
■NSNの本当の価値。
FLISなどロジスティクス情報の最大の目的は調達が迅速に行なわれることで装備品の欠落時間を短縮できることであるが本当の価値とはNSNに取り込まれた各種要素データにより在庫の確認、保存期間の識別、交換・代用可能な供給物品の識別、利用可能な代用品の最大限使用、価格情報の提供により防衛予算の最適化、武器システムのライフ・サイクルを拡張し、設計、製造および修理プロセスのためのサイクル・タイムの改善、機密情報を保護し、多数の調達業者の登録、重複物品の識別援助などが最適に行なえる。
恐らくNSNの最も重要で最も遠大なメリットは装備品の取得要求から保守、そして廃棄に至るまでのライフ・サイクル管理を提供するということにある。NSNを集積したFLISやNCSはロジスティクス情報としてWebFLISやNMCRLを通じて世界的に使用され、NSNはロジスティクスの国際語と言われている。米国に端を発した装備品取得に纏わるNSNの総合コスト概念はNATO諸国や国連( UN )における物品取得のオプティマム・ツールとして世界大の利用者を抱えるまでに膨れ上がっている。わが国が本格的にNSNを取り込むまでにはまだまだ解決しなければならない難題が待ち構えているが、TCOを掲げるわが国防衛装備品行政にとってNSNの運用は避けては通れないデファクト・スタンダードである。
■グローバル・ロジスティクス情報調査(GLIS)サービスとは
当サービスが目指すものとは輸入装備品を取得したユーザが注文書や契約書、設計図面や部品表に記載された情報とDODやNATOが公表するNSN情報に不一致や不足情報が存在した場合これらの不一致や不足情報を補正し、あるいは充足することにある。ユーザはGLISサービスに次のような問題解決を期待している。
―NSNが構成分品となる上位部品の調査
―NSNに関係するメーカ部品番号の調査
―メーカ部品の互換性とエビデンスの入手
―NSN変更に伴うメーカ部品番号の調査
―NSNに関する優先部品番号の調査
―注文書とFLISやNMCRL記載の不一致によるエビデンス入手
―正式番号の調査とそのエビデンスの入手
―RNVCにおける調達優先番号の調査
―RNCCとRNVCとの相関関係
―メーカ部品の在庫確認
―メーカ部品の販売店あるいは代理店調査
―NSN記載情報の知識
―メーカ部品のNSN登録手続きと更新
―NSNが使用されているエンド・アイテム
―NSNに付随した公共スペックの一覧
―過去の契約実績と価格
―NSNとメーカ部品番号との関係など
(注)NATO提供による。
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