【MIL-STD-810G 衝撃試験】
2013.10.1
ーMILスペックの最新版試験規格(和訳版)ー
MIL-STD-810Gは800ページを超える膨大なMILスペックの最新版試験規格(環境工学的考察と試験室試験における試験方法規格)である。第1部(環境工学的考察)、第2部(各種試験方法)および第3部(環境条件ガイド)から構成され旧版となったF版に比べて説明が豊富でまた試験方法も追加され温度、湿度、高度、振動、衝撃試験など29種類からなる。そこで弊社では各種試験に共通する第1部(環境工学的な考察)と第2部の中から衝撃試験(516.6)の和訳版を完成させた。またその他各種試験は個別にご依頼に対応する。詳しくは弊社まで。
■MIL-STD-810Gとは
MIL-STD-810は防衛装備品あるいは民間製品の環境応力(ストレス)の影響を検討するために用意されたものである。具体的には調達契約や工学的な試験方法について成果に基づいた環境調製のプロセスについて言及している。
MIL-STD-810はもともと通信機器や計測器、コンピュータ、携帯端末など精密装備品のうちフィールド・ユースにおける堅牢さをうたってきたが、ここにきてあらゆる分野の製品のうち特に堅牢さを売り物にする従来製品との差別化としてMIL-STD-810準拠品が出回り始めている。弊社ではこれらMIL-STD-810に関する調査依頼や翻訳などをうけており、今後とも多くのニーズの発掘に努めている。
体系的にみて様々な環境要因は、装備品の耐用年数にわたって特定の有害な影響を考慮しなければならずMIL-STD-810では防衛や民間用に開発された全ての装備品や製品に適用される調達や資材の変更およびユーザとの相互運用性のニーズを満たす共同開発の機会を与えている。
最新版MIL-STD-810Gは800ページを超える膨大な試験規格であり構成は第1部、第2部および第3部からなる。すでに旧版となったF版に比べて説明が豊富で、また試験方法も新たに追加され温度・湿度、高度、振動、衝撃試験を含め29種類にも及んでいる。
またMILスペック・ユーザは自社の装備品あるいは製品の特性に合わせ各種試験方法を選択し日本国内にあるMIL-STD-810Gに準拠した複数の民間試験施設で基準をクリアした製品が自らの製品仕様書や説明書に「MIL-STD-810GのXXX試験に準拠」したことを記載してその製品の信頼性をアピールしている。
第1部では衝撃や振動等各種試験に共通した環境応力に耐えられるシステムを取得するための規準に合わせたアプローチを展開している。また環境工学の観点からユーザのニーズを満たす装備品や製品を取得するための基本的なプロセスを図解しておりMILスペック準拠品に共通した概念を取得するうえで大変重要な部分となっている。
第2部は、個別環境向けに調製されたプロセスとして不可欠な部分である。調製(テーラード)については環境応力データや臨床検査方法などが含まれている。各方法に含まれる環境データは補助となるがその耐用年数を通じて遭遇する環境応力を定義するために排他的に使用すべきではないとしている。また特定の材料とその定義されたライフサイクルに合わせた分析や試験においてエンジニアを支援している。なかでももっともニーズの高いのが衝撃試験(516.6)で詳細は後述される。
第3部は現実的な気候条件での検討のための計画要領を提供し世界中での様々な気候地域のライフサイクル全体で使用される材料の開発、試験および評価などを取り上げている。この規格が意図した使用の分野としてそのライフサイクルを通じて発見される可能性が高い環境条件の下で適切に実行する材料開発の目的を達成するのを助けることを意図している。
■516.6 衝撃試験
MIL-STD-810Gの衝撃試験(516.6)から以下を抜粋する。
衝撃とは
比較的短い時間(通常資材の基本周波数の周期よりはるかに少ない)と適度な高レベル(極端な振動レベルの上)材料への入力として適用された撃力に適用される用語である。一般に撃力入力は資材(資材の表面上あるいは資材の本体)に伝達され力の大きさの点で直接測定することは不可能ではないにせよ困難である。資材応答加速度は一般的に測定するための変数であり衝撃の影響の特性評価に使用される。これは例えば測定変数の解釈が明らかであると測定計装形態が検証されている限りそのような類似した方法で使用され処理されてから速度、変位、歪み、力あるいは圧力などの資材応答の他の変数を排除するものではなく資材応答などの重要な周波数範囲内で行われた測定で表示された資材衝撃時間履歴を表して適度に複合的な測定された資材の応答加速度を示している。
この規格の衝撃試験の目的は、
① 資材が物理的および機能的に比較的まれに非繰り返し処理で遭遇する衝撃、輸送、サービス環境に耐えることができるという自信の程度を提供するものである。
② 包装が資材の物理的および機能的完全性を保護するような設計ができるようにするために資材の脆弱性レベルを決定するためにある。
③ 破壊される可能性をプラット形式で資材を取り付けたデバイス強度を試験する。
資材がその一生の間に機械的に誘導された衝撃にさらされる可能性が高い物理的および機能的な性能を評価するためにはこの衝撃試験方法を使用するものとする。このような機械的衝撃環境は一般に10,000 Hz以上を超えずまた1.0秒の持続時間を超えない周波数範囲に限定されるものである。(たとえば機械的衝撃のほとんどの場合重要な資材の応答周波数は4,000 Hzを超えることはなく資材応答の持続時間は0.1秒を超えることはない。)
資材は一般に短期間で高い振動になりほぼ同じ大きさの正と負のピーク振幅と初期の立ち上がり時間をもっている。機械的衝撃への資材のピーク応答は一般には時間の指数関数の減少形に包まれる。一般に複合的で複数様式な資材システムに適用される機械的衝撃あるいは適用後の資材が外部励起した環境から資材に課され(1)強制周波数に応答しかつ(2)資材の共振固有振動数のいずれかの励起があり各種応答が発生するのである。
なお衝撃試験の目次は次のとおり。
1. 総則
1.1 目的
1.2 用途
1.3 制限
2. 調製の案内
2.1 衝撃法の選択
2.1.1 衝撃の影響
2.1.2 その他方法の間の配列
2.2 手順選択
2.2.1 手順選択の考察事項
2.2.2 手順間での違い
2.3 試験レベルと条件の決定
2.3.1 一般的な考察事項 – 複合で過渡的な用語やイラスト
2.3.1.1 衝撃
2.3.1.2 衝撃/不規則振動
2.3.1.3 統計的推定処理
2.3.1.4 その他の処理
2.3.2 試験の条件 .
2.3.3 試験軸と衝撃事象の数 – 一般的な考察事項
2.3.4 複合で過渡的のみの特別考察
2.4 試験品目の設定
3. 要求された情報
3.1 試験前
3.2 試験中
3.3 試験後
4. 試験工程
4.1 試験設備
4.2 制御
4.2.1 較正
4.2.2 公差
4.2.2.1 古典的なパルスおよび複合過度パルス時間領域
4.2.2.2 複合的な過渡的なパルス-SRS
4.3 試験の中断
4.3.1 設備の中断による中断
4.3.2 試験動作不良による中断
4.4 計装機器
4.5 データ分析
4.6 試験実行
4.6.1 試験準備
4.6.1.1 予備的ガイドライン
4.6.1.2 試験前点検
4.6.1.3 手順概要
4.6.2 手順 I – 機能性衝撃
4.6.2.1 制御
4.6.2.2 試験公差
4.6.2.3 手順 I – 機能性衝撃
4.6.3 手順 II – 包装化された資材
4.6.3.1 制御
4.6.3.2 試験公差
4.6.3.3 手順 II 包装化された資材
4.6.4 手順 III – 脆弱性
4.6.4.1 制御
4.6.4.2 試験公差
4.6.4.3 手順 III – 脆弱性
4.6.5 手順 IV – 移動時の落下
4.6.5.1 制御
4.6.5.2 試験公差
4.6.5.3 手順 IV – 移動時の落下
4.6.6 手順 V –崩壊ハザード衝撃試験
4.6.6.1 制御
4.6.6.2 試験公差
4.6.6.3 手順 V – 崩壊ハザード衝撃試験
4.6.7 手順 VI – ベンチ・ハンドリング
4.6.7.1 制御
4.6.7.2 試験公差
4.6.7.3 手順 VI – ベンチ・ハンドリング
4.6.8 手順 VII – 振り子式衝撃
4.6.8.1 制御
4.6.8.2 試験公差
4.6.8.3 手順 VII – 振り子式衝撃
4.6.9 手順 VIII – 射出機発射/静止着陸
4.6.9.1 制御
4.6.9.2 試験公差
4.6.9.3 手順 VIII – 射出機発射/静止着陸
5. 結果の分析
6. 参照/関連文書
6.1 参照文書
6.2 関連文書
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