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【PRF(パフォーマンス)スペック】

2014.2.18

―PBLのためのMILスペックー

PRF(パフォーマンス)スペックはMIL-PRF-XXXXという表記形式のMILスペックである。このPRFスペックはPBL(パフォーマンス・ベースド・ロジスティクス)契約で成果を挙げるための装備品仕様書であると言えよう。このPBLの概念に基づいたPRFスペックとは何か改めてPRFスペックについて解説する。(DCメール 2014年2月15日 No.359)

■PRFスペックはPBLのためのMILスペックである。
        
始めにPRFスペックが従来からのMILスペックとは異なることを説明しよう。どのように異なるのかを知ってほしい。
一般にMILスペックというものは①許容できる製品とは何か。②製品の許容をどう決定するかを記載するものである。そして問題はいかに製品を作ってほしいかをメーカに伝えるときに起こるのである。従来のMILスペックは半ば強制的に官が要求することで民(メーカ)のもつ革新的な能力を抑え、改良し、より安いより確かな製品を得る可能性を制限してきたのである。またメーカがどうやって製品を作るかが完全にわかっていないとき、また知識が十分に伝わっていないとき、あるいは本当に改良が必要とされるときにおいても、その「やりかた」までもスペックに記述したことがMILスペックに重大な過ちをもたらしたとされたのである。(もっとも現在においては行き過ぎた成果主義は装備品の世界では是正されており、例えばDTLスペックのような新しいMILスペックが誕生しているが)
逆にPRFスペックの必要性はそこにあるのである。PRFスペックはそのやりかたや詳細な記述を排除し、逆にメーカの裁量を持って要求に応える方法を見つけてもらうといっていい。そこでPRFスペックではその成果(パフォーマンス)への要求を効果的に記述するためにユーザ・ニーズと技術特性を網羅したものであるといえよう。要求は精密な点を追及するより許容の範囲や臨界値(Threshold)を要求することでユーザの柔軟性を反映させている。またPRFスペックは必要な結果に関する要求事項を述べ準拠していることの証として評価基準を提示しているが結果を得るための方法論は決して述べてはいないのも特徴である。
そのうえPRFスペックは成果に対する要求が次のような特質を持たなければならないとしている。
「PRFスペックの要求は質的というよりはむしろ量的でなければならない。それはPRFスペックが提案や入札を行う人々およびそれを評価する人々に要求が何であるかを「正確に」わからせないといけないからである。量的なデータに基づかない要求は解釈と誤解を与えることになるからである。成果パラメータは明確に詳しく説明されていなければ評価して契約後に成果を実践するのが非常に難しくなるからでもある。」
「PRFスペックの要求事項は検証可能でなければならない。PRFスペックは製品が必要に応じて働くかどうか分析、試験また実演で決定することができなければならない。また検証可能な要求はメーカを助けることにもなるからである。」
「PRFスペックの成果への要求は異なった設計部品で互換性を許容することができるように詳細に記述しなければならない。ここで問題なのはPRFスペックを用いるときの他のスペックとの領域を慎重にしなければならないということである。例えばPRFスペックは適切なレベルで必要な他の要求を列挙しなければならないが,その必要性を超えた結果を課してはいけない。」
「PRFスペックの要求は材料やプロセスから独立していなければならない。またPRFスペックを変えないで材料や過程を変えることが可能でなければならない。」
このようにPRFスペックは製品、使用目的、役務の環境状態、保守能力、必要な相互関係および互換性などの特性について必要とされる成果を完全に定義しなければならない。メーカは自由にどんな方法でも要求を満たすことができ、メーカは提供する製品がスペックに記載されている成果基準を満たしていればすぐにでも提供することができるのである。そしてここで重要なことはメーカとユーザの双方がそれらの評価基準を満たすかどうか決定することができるのである。
ところでPRFスペックを記述する際に危険なことは不必要な情報を織り込むことである。何を含むのかを選ぶことは何を除いたらよいのかを選ぶことと同じくらい重要である。ユーザは取得される製品に対して、すべての要求を精査しまた価値の無い要求を排除しなければならない。データ要求、検証方法および見落としは最小の不可欠の必要性であることを反映しなければならない。
ここでPRFスペックを理解するうえでMILスペックにはPRFスペックにはない次のような不必要な要求があったことを知るべきである。
「補強は耐食鋼ワイヤから成るものとする。16Z未満のホースは、単一層の組み紐があるものとし16Zおよびそれ以上のホースは 2層の組み紐があるものとする。ワイヤはここで指定される要求に応じられる強度を保つためにチューブの上に張られるものとする・・・」
これらの記述は組み紐の鋼線と層はホースを補強するための最良な方法でないかもしれないし機能的な要求とはホースが指定された量の圧力に耐えることなのであるからである。
また、「布は毛羽立った綿から作られて、縦糸と充満した中身のために一本糸で紡ぎられるものとする。織り方は5ハーネス・サテンであるものとする。充満した側は装丁され、表(おもて)として確認されるものとする・・・・」
これらの記述も布を作る方法を製造者に教えており、どのような布かまたその品質について述べてはいないのである。
このように従来のMILスペックが方法論や特定な設計要求が含まれ場合によっては正確な部品と部材を指定している。例えばハウジングの詳細設計を示して特定の図面に従って要求を述べるごとくである。これに対してPRFスペックは方法論や特定な設計要求は適用されない。
また従来のMILスペックは品目や部品についての詳細な重量、サイズ、寸法、品目など特定な設計詳細は時にして関連スペックなどにも必要なものを超越することがある。しかしPRFスペックは関連性や共同運用性、作動環境,または人的因子に必要な範囲だけの特性の記述がなされる。適用可能なものとしては全重量や外形寸法制限、品目の設計や製造に適用される物理的な要求は独自的で品目の適切な製造に絶対に必要かつ使用されなければならないとされる。例えば航空機部品の必要性は米国連邦航空局の設計や生産要求を満たすこと等である。
そしてPRFスペックは特定の素材をメーカに求め例えば「耐蝕性」のようにその特性記述が必要とされる。品目設計において素材使用を統制する以外は詳細な要求は記述しない。そのような要求は品目の有効利用に対して独自的で批判的であり最小限に抑えなければならないとしている。例えば新設計部品に対して既存在庫品を強制的にあてがうことなどがある。MILスペックは通常スペックに従って特定の材料を必要とするとしている。
またMILスペックでは結果を遂行するために温度や時間や他の条件などの正確な過程や諸手続をしばしば指定する。例えば焼き戻し、焼きなまし、機械加工、仕上げ加工、溶接、はんだ付けをすることなど。PRFスペックの場合はあったとしても要求はすくない。
PRFスペックは特定の部品を必要としないが、MILスペックはどのファスナ、電子部品、ケーブル、シート・ストックなどを使用するのかを記述している。
PRFスペックは信頼性を量的な言語で記述する。また要求が満たされなければならない状態を定義する。また必要最低の値を記述する。例えばMTBFやMTBRなどである。
総じてPRFスペックは保守の要求を量的に記述する。例えば平均・最大の補給時間や平均・最大の修復時間、MTBM、保守勤務・操業時間比率、保守処置職員と熟練度の数、操業時間当りの保守費など等である。さらに使用される試験設備の確認や品目と試験設備間の互換性の指定もおこなう。そしてPRFスペックは湿度、温度、ショック、振動などの要求を確立し失敗の証拠や機械的な損傷を入手する要求を樹立しているのである。
このように述べてくるとPRFスペックが如何にPBLのためのMILスペックであることがよくわかる。PBLは従来からのレガシーシステムを「近代化」させるような伝統的なアプローチと異なり全体論的に装備システム、アセンブリ、部品およびコンポーネントを支援管理しレディネス(即応性)を達成するために民間企業との長期契約を通していわゆる装備品の取得というよりはむしろ成果を取得するという新しい概念に立っているのである。そこでこのPRFスペックとPBLの関係はこれからの装備品開発や設計、製造そして取得から廃棄にいたるライフサイクルにおける核心的な部分であることを改めて銘記しておかなければならない。なおPBLについての詳細は以下を参照のこと。
■ PBLとメトリクス
http://www.datacraft-news.com/ontopics/240.html
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