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【 NSNの歴史 】 

2014.4.15

ー世界共通の装備品番号体系ー

欧米の主要諸国を含む世界の38カ国の装備品が掲載されるNATO装備品データベース(NCS)には例えば米国製の陸上車両用のガスケットの代替品にドイツのダイムラー社製やスエーデンのBAE社製のガスケットが掲載されている。もちろん材質や形状、寸法はすべて同じだ。これは何を意味するのか。それは米国製のガスケットが枯渇したり納期に間に合わない場合、ダイムラーやBAE製のガスケットを代替品として取得できるということに他ならない。今やグローバル・ロジスティクス(GL)という概念のもと世界各国が装備品を共有し取得の迅速化、廉価性を追求することを意味している。そしてそれを可能にするのがNSN(世界共通の装備品番号)なのである。 (DCメール 2014年4月15日 No.363)

世界共通の装備品番号体系
わが国にはいまだになじみの薄いNSNであるがNSNには途方も無いTCO(トータル・コスト・オブ・オーナーシップ)に携わるデータが集積されている。
ロジスティクスは湯水のごとくお金がかかるものだと言われている。そこで最適な装備品取得を行なうためにはLCC(ライフ・サイクル・コスト)に根ざした取得システムの運用が必要とされる。言い換えればNSNはTCOのための要素データを集積しており取得が最適に運用される証とされているのである。
世界の38カ国の装備品を収録しわが国をはじめ67カ国が利用するNCSはNSNの集合体である。現在NSNの総数は米国だけで700万件を越すと言われ、ヨーロッパやその他の関係国を含めると総数が1700万件にも上る膨大な数である。
このNSNの最大の特徴はなんと言ってもこれら38か国の製造する装備品、例えば航空機部品から生活必需品に至るまでの互換品や代替品情報がDB化されていることである。その意味において代替品や同等品は3千万件にも上る世界最大の装備品DBといわれている。
NSNの基本は単一装備品の識別にある。そのためにすべてのNSNは13桁の数字をもつ独特な番号制度からなっている。これにより現在38か国では装備品はすべて統一されすべてがNSNの元で集約されている。(ちなみに米国をはじめとするNATO諸国はもちろんアジア太平洋諸国の韓国やオーストラリア、シンガポールなどもすべて装備品体系は共通化されている。)
 
この13桁によるNSNの前4ケタはFSCコード、後ろ9ケタはNIINと呼ばれ、またNIINの最初の2桁は国別コードになっている。例えば米国で登録されたNSNであれば00あるいは01が与えられるという風になる。
 
第二次世界大戦までは個々の国家によって使用された物品には異なる名称や仕様が付けられていた。当時これらの国家では同一品を見極めることは難しくまた同一名称や仕様による物品を共有することはほとんどの場合不可能であった。そこでは重複する状況を生む結果ともなりムダが生じ戦費も益々増加したのである。
このように各々の国家はもちろん各機関が異なる名称や仕様で装備品を管理していたらいざというときに別の機関から同じ物品を識別して移動させることは不可能である。そこでNSN概念を創始した米国は類似在庫品の増加を抑制し、また装備品特性を比較することが不可欠であることがわかった。 これがNSN概念の創始となったのである。
 
だれでも電話番号システム、269-961-7766については知っているはずである。電話番号の3つの個別部分は最初が市外局番であり、第2の部分は交換局番、また3番目の部分は個有の番号である。 NSNはこの電話番号とよく似ている。NSNは6240-00-357-7976のように13桁のコードである。NSNの最初の4つの数字は補給分類(FSC)として知られている。例えば6240は電灯用のFSCである。
FSCは例えば蛍光灯や白熱灯、水銀灯およびナトリウム灯のように同一品をグループ化するために使用されている。次の2つの数字は国別コードである。装備品にNSNの割り当てを要求した国を示しているのである。残りの7桁の数字はNSNに連続して割り当てられる固有のコードである。
 
そしてNSNには装備品を定義するための広範囲なロジスティクス・データ(TIR)が埋め込まれている。これらのデータには品名、メーカー部品番号、代替品データ、物理的性能特性、梱包データ、特殊取扱データ、保管データ、在庫期間データ、廃棄処分データ、その他管理データである。そしてNSNのライフサイクルにわたってメーカの移動や部品番号の変更、その他装備品の支援や特性に影響する最新情報を登録するために常時データ更新されるのである。
 
ロジスティクス情報の最大の目的は何といっても装備品の欠落時間を最短にすることである。そして本当の価値とはNSNに取り込まれた各種要素データにより在庫の確認、保存期間の識別、交換・代用可能な供給物品の識別、利用可能な代用品の最大限使用の提供により防衛予算の最適化、武器システムのライフ・サイクルを拡張し、設計、製造および修理プロセスのためのサイクル・タイムの改善、 機密情報を保護し、多数の調達業者の登録、重複物品の識別援助などが最適に行なえることである。
 
恐らくNSNの最も重要で最も遠大なメリットは、装備品の取得要求から保守そして廃棄に至るまでのライフ・サイクル管理を提供するということにある。 NSNを集積したロジスティクス情報として米国のWebFLISやNATOのNMCRLを通じて世界的に使用されNSNはもはやロジスティクスの国際語となっている。
NATOによればNSNの総合コスト概念はもはや国連(UN)における平和維持活動に使用される物品取得のオプティマム・ツールとして世界最大の利用者を抱えるまでに膨れ上がっているとしている。
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