DataCraft

Topics

【MILスペックの常識】

2017.3.14

■MIL“準拠品”と“認定品”の違い
MIL認定品は米国防省(DOD)がじかに登録させ、例えばQPDデータベースで世界中の装備品ユーザに通知する、いわゆる正規登録品である。一方、MILスペック準拠品あるいは相当品はMIL-STD-810等の試験規格に準拠した装備品あるいは民間製品を指している。この2つはその志向や目的が異なるためにその違いをはっきり理解しておく必要がある。
■まずはMILスペック準拠品の宣伝文句を紹介する。なおここでは単に事例として紹介するもので、内容や表現について論ずるものではないことをお断りしておく。
 
―厳密かつ過酷な仕様として有名なMIL規格に準拠した耐久性・防滴性・防塵性を備えており通常の用途ではまず壊れることがないといっても過言ではない堅牢仕様となっている。
温度試験    ・動作温度: -20℃ ~60℃
温度衝撃試験  ・急激な温度変化に耐えることができること
湿度試験    ・暖かく高湿度な環境に耐えることができる
衝撃試験    ・衝撃に対して耐えることができること
落下試験    ・鉄に1.52mから26回落下に耐える
振動試験    ・振動に対して耐えることができること
耐久性に優れ米国の軍用規格のテストでその強度が実証されたボディ、粉体塗装の底部、防水設計キーボ ードなど、全体をスタイリッシュに強化。
 
―ヘビーデューティなGPS内蔵PDA。厳密かつ過酷な仕様として有名なMIL規格に準拠した耐久性・防滴性・防塵性を備えており、通常の用途ではまず壊れることがないといっても過言ではない堅牢仕様となっている。
 
―携帯端末の軍事利用。米軍の軍事規格MIL-STD-810に適合させることによってタフさをアピールする民間用携帯はいくつか出ている。米国向けの携帯電話もRev.Fに準拠している。
動作温度:-51℃から+49℃
保存温度:-51℃から+71℃
耐水性( 防沫、防滴であり水中使用は想定外 )
クラッシュ・テスト 75gで8から13msec
極地から熱砂の地までどこでも動作し、軍人が乱暴に投げ飛ばしながら輸送しても壊れない仕様を要求している。
 
―米国国防総省の軍事品に採用。当社技術実験室において下記の試験を実施、試験後も正常動作することを確認。( 注 )本試験は記載の条件下における商品の無破損、無故障を保証するもので
はない。自由落下試験( 非動作時:合板 )各面・辺・角の計26方向に対し、120cm落下、90cm落下を実施。【耐振動試験】( 非動作時 ) 前後・左右・上下に1時間かけて振動を与えつづける。持ち運び及び車での移動時の振動を想定20Hz~1000Hz:0.04G2/Hz 1000Hz~2000Hz:-6dB/オクターブ1時間/軸
  
もともとこのMIL-STD-810は防衛装備品あるいは民間製品の環境応力( ストレス )の影響を検討するために用意されたもので具体的には調達契約や工学的な試験方法について成果( パフォーマンス )に基づいた環境調製( テイラード )のプロセスについて言及している。体系的にみて様々な環境要因は装備品の耐用年数にわたって特定の有害な影響を考慮しなければならず防衛や民間用に開発された全ての装備品や製品に適用される調達や資材の変更およびユーザとの相互運用性のニーズを満たす共同開発の機会を与えているのである。
MIL-STD-810はもともと通信機器や計測器、コンピュータ、携帯端末など、精密装備品のうちフィールド・ユースにおける堅牢さをうたってきたが、ここにきてあらゆる分野の製品のうち特に堅牢さを売り物にする従来製品との差別化としてMIL-STD-810準拠品が出回っている。弊社ではこれらMIL-STD-810に関する調査依頼や翻訳などをうけており、今後とも多くのニーズの発掘に努めている。
体系的にみて様々な環境要因は、装備品の耐用年数にわたって特定の有害な影響を考慮しなければならず、MIL-STD-810では防衛や民間用に開発された全ての装備品や製品に適用される調達や資材の変更およびユーザとの相互運用性のニーズを満たす共同開発の機会を与えているのである。
最新版MIL-STD-810Gは800ページを超える膨大な試験規格であり、構成は第1部、第2部および第3部からなる。すでに旧版となったF版に比べて説明が豊富で、また試験方法も新たに追加され温度・湿度、高度、振動、衝撃試験を含め29種類にも及んでいる。
■一方、MIL規格認定品とは米国防総省(DOD)の監査によるMILスペック認定品のことを指している。この認定品とは取得に先立って、また取得とは無関係に行なわれるプロセスで、その目的は装備品がMILスペックの要求に一致することが、試験によって確証されるか認定品の製造業者の能力を証明するか、どちらかである。認定された製品は認定品データセット(QPD)に掲載され、監査プロセスによって承認された業者は認定業者表(QML)に掲載される。これらの記録はQPDで電子的に保管される。
認定品目表(QPL)は安定した設計や構成を備えた装備品に使用されそれによって高額な試験コストを招かずに個々の製品に認定を与えることになるからだ。認定はさらに初回品試験の必要性をなくすことにより試験コストを縮小することも可能となる。試験が非常に高価で長い時間をとる場合それは特に重要である。要するに認定とは、計画実行する危険と品質保証の関係を最適化し、実行可能な供給源からの信頼できる製品の連続的な有効性によって、準備を改善し業者の取得に先立つ能力の証拠用の要求を確立し、標準化し、要求および連続的な装備品の品質改良への適合を保証するべき、供給源との長期的な関係を築くことを意味しているのである。
MILスペックの認定制度は、製造業者が自らの製品やプロセス、材料を米軍による性能、品質、信頼性などの要求を満たすことを実証するプロセスである。DODの品質支援システムと管理職員は認定の場所および業務を保証するために製造業者の施設の現場監査を行う。これは文書やデータ、観測プロセスや試験を検証し、納入材料から製品出荷までの実際の製造フローを検証し職員とのインタフェースによって達成される。
認定要求は適用されるMILスペックと規格で規定されている。認定が正常に実行された後、製造業者の製品、プロセスおよび材料は該当する認定品目表(QPL)または認定業者表(QML)に記載される。このDODのアプローチは、基本的に製造業者が管理され、技術的に高品位の製品を生産し、米国政府から最少の監督で “世界的な”製造業者として競争するために、十分に健全であることを検証することにあるのである。
製造業者はプロセス管理および継続的な改善により、高品質の製品を製造することが最善の利益になることを理解しなければならない。企業はもはやスペックを満たすだけでは世界市場で生き残ることはできない。上記のすべての特筆された取り組みは、認定プログラムに最適な実践と柔軟性を注入するようなツールとして採用されているのである。
製品を実証するための“認定”とは、MIL品としての性能、品質、信頼性の要求を満たすことにある。 QPLとQMLは多数の世界中のユーザに送付され、結果的に製品は世界中の可視性を取得することになる。製品の全体的な品質と信頼性と同様に歩留まりを向上させることができ、信頼性の高い製品の製造業者として世界的に認識される。すべての認定試験が低減される。顧客や政府機関の信頼を高めることができるなどの特典があるからなのである。
近年、DOD は米国内での認定品の生産に留まらず取得改革や世界経済の変動( グローバリゼーション )により海外諸点での生産活動を推進している。DODの装備品システムには電子・機械部品はもとよりあらゆる装備品が満載されており適正な装備システム性能を維持するために正常な機能が発揮されることが求められている。
DODの装備品要求は米国防標準化計画( DSP )の管理下におかれ、調整済みのMILスペックや関連する製品の認定作業が行われている。そして1980年代まではこれらの装備品はほとんど米国内で生産されていたが取得改革や世界経済の変動により急速に海外諸点での生産に移行しつつある。
 
MILスペックを策定する制定部門( PA )は、軍や製造メーカが求める「性能要求」を策定し、各部門との調整作業を行っている。MILスペックが制定され発行されると認定部門( QA )は部品を供給するメーカの選定を行い、装備品の認定を行う。この認定作業にはQAのアセスメントすなわち製造メーカへの認定検査や生産能力、試験方法などといったMILスペックに準拠した性能を発揮する装備品を保証するための評価を行っている。
この評価には細部にいたるドキュメントや製造プロセスの調査や現地での監査などが含まれる。そしてこの認定プロセスが終了すると製造メーカの品質システムや生産設備、テストラボといったものが生産能力あり、としていわゆる認定証が交付されるのである。
即ちメーカは認定された装備品製造プロセスを用いてテストラボでMILスペックに要求される認定試験を行い、その試験結果はQAに報告され合格審査を取り付けることになるのである。QAはその装備品がスペック要求に適っていることが確認されるとその装備品およびメーカはQPD( Qualified Product Dataset)に登録されることになるのである。
上記の通り、DODの装備品生産は大きくグローバル化しておりそのために標準化政策は改正され生産を海外諸点でおこなうことを認めるところとなっている。これはNATO等諸外国とのISA( 国際標準化条約 )に沿って達成されるところであり、諸外国とDODとの互恵な認定プロセスのルールの取り決めとなっている。
ISA条約が米国との間に存在する諸国では、お互いの国はNQA( National Qualifying Activity )を適用することになる。また米国とのISA条約を締結していない諸外国ではすべての監査業務、試験報告、認定などは米国NQAの責任下、米国内でのプロセスと同様となる。そして当然海外出張などの付加コストは認定を希望するメーカが負担することになる。この地球規模の供給体制への移行は、成長が望まれているが、民間企業独自の進出というよりは、わが国政府が率先した取り組みをすることにより、初めて可能となることを知っておく必要があろう。
 
【お願い】本誌の性質上、出来る限り日本語にしてお伝えしているが、適訳であるとは限らない。また、紙面の都合上全ての原文を引用できない場合がある。なお、本誌は参照情報源としてだけ使用されるものであり、完全性や正確さを保証したり主張したりするものではない。また本誌に記載された内容を無断で引用または転載することは禁じられている。