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【MILスペック調査事例】

2016.12.15

-過去の調査事例からー

今年も残すところ、あとわずかとなりました。わが国防衛装備品に関わるMILスペック運用事例は定着した感がありますが、記載された一字一句を疎かにしないわが国のMILスペック運用風土において、課題は常に山積しています。そこで年末号として、弊社が過去に行ったMILスペック調査から事例を上げて紹介しましょう。これらは運用するすべてのMILユーザにあてはまる調査事例として参考にしていただければ幸いです。まずは良いお年をお迎えください。( DCメール 2016年12月15日 No.427)

(注)過去事例のため、内容は最新情報ではない場合があります。

MILスペック調査事例(過去の調査から
【調査】
MS25361の部品を購入した際に、米国メーカからスペック改訂までの間DODにより変更が許可されたとの文書が提示されたが、正式文書として採用すべきか判断できずに困っている。
【回答】
DODの当該スペック管轄から、当該文書は正式に受理されており有効であるとの回答を入手した。よって正式文書として採用することができる。
【調査】
MIL-STD-1629のB版がある、ということを取引先から聞いたが、公式サイトではA版のNOTICE 3で廃版となっている。真偽をただしたい。
【回答】
DODからの回答はMIL-STD-1629Bの計画はない。もしその話の出所がわかるなら再度当たりたい。またA版はNOTICE 3で廃止されたが、その方法や手順が無効になったわけではないのでMIL-STD-1629Aと意図を同じくする文書を参考までに紹介する。
【調査】
国内認定で使用されるMIL-S-8784が生産中止となり代替品を輸入しなければならなくなったが、要求値に合致したシーラントではなく認定されたシーラントが必要となる。
【回答】
現在ではSAE-AMS-3284に移行( 代替 )されているために認定品はない。なお代替品としてはA社のAC-615あるいはCS-3300が存在する。しかしながら現行スペック( SAE-AMS3284 )の運用を検討されたい。
【調査】
MIL-PRF-22750は塗料を規定するスペックであるが、認定業者から認定色以外を認定品として、調達することを要請されている。業者は可能であると言っているが判断に苦慮している。
【回答】
認定業者からの調達品であればスペック要求に準拠していると思われるが、塗装色規格のFED-STD-595の要求を満たしている必要がある。
【調査】
顧客がQQ-A-200/3E( 旧版 )を指定して交換用として要求した場合、メーカとしては2024-T3を製造することは可能か。
【回答】
その通りである。その場合メーカは旧版や背景などの通知を製造や納品の事前に行うことである。顧客には発注の打ち合わせの際に通知することが望ましいと思う。契約( 発注 )後では納期の遅延を招く原因ともなる。あらゆる問題を防ぐために最も必要なことは、顧客とメーカの協力的なチームワークである。
【調査】
MS26574Hのスペックで注文したら、スペック外品が入荷した。メーカは,現在I版に準拠して製作しているから合格品であると回答してきた。
【回答】
MS26574の最新版はHである。現在改訂する予定は無い。
【調査】
AMS3284を満たす物品を購入したいがどうしたらいいか。
【回答】
AMS3284はSAEの関連団体のPRI-AMSから認定品目表( QPL )PRI-QPL-AMS3284が発行されているので利用されたい。
【調査】
MIL-PRF-81352CにQPL-81352は存在するか。本文に記載されるQPLが見当たらない。QPLが無い場合当該スペック品を製造しているメーカ名と製品名を調査願う。
【回答】
当該スペックには現在QPLは存在しない。今後要求が出る可能性はある。
【調査】
MIL-T-55155は顧客より97-9-26で廃版となっているとの連絡をうけたが本当か。その場合DSCCの認定をうけた工場であれば今後も製造可能か。またA-A-59126に移行したとのことであるがどこの管轄で管理されているのか。
【回答】
09/26/97付けにてMIL-T-55155Cの廃止通知が発行されている。スペックが廃止されるとメーカは製造を中止するが、需要があれば製造を継続する。A-A-XXXX型のスペックはCID( Commercial Item Description )と呼ばれ、一般品( 簡易型 )のスペックとしてGSA( General Service Administration )により管理されている。このケースでは従来からのMILスペック品を廃止してCommercial( 一般 )品としてGSAが管轄するようになった。このGSAはA-A-XXXの仕様にあったメーカ品を常時登録しておくことで、政府調達を簡便化、迅速化、低コスト化させている。
【調査】
超音波検査方法を規定するMIL-STD-2154とSAE-AMS-STD-2154は双方が有効であり今後の社内適用規格としていずれを適用すればよいかについて材料メーカと購入先での見解が異なっている。
【回答】
今後数ヶ月以内に関係機関での調整が行われ正式にSAE-AMS-STD-2154が採用され、その結果MIL-STD-2154は廃止されることになる。なおそれまでの間は正式文書となる。
【調査】
JUNCTION MODULEのSPEC(MIL-T-81714 SERIESⅡ)がインアクティブあるいはキャンセルになった理由を調査願う。
①MIL-T-81714/60A(Document Status:Inactive)
②MIL-T-81714/61A(Document Status:Inactive)
③MIL-T-81714/62A(Document Status:Canceled)
【回答】
現在MIL-T-81714/60、MIL-T-81714/61は SAE-AS81714に移行過程にある。なお、技術要求内容は従来スペックと変更はない。またSAEの当該スペック担当に対してインアクティブをはずすことを計画している。また、MIL-T-81714/62はSAE-AS81714/62として移行するようにSAEに要求中である。
【調査】
例えばMIL-H-24136A の後ろに括弧付きで(SH)や(SHIPS)という文字が付加されているが、これらは何か。
【回答】
スペック表紙の右肩にある番号表記はIDENTIFIER(識別記号)と呼ばれ記載方法にルールがある。質問の付加()であるが、これは当該スペックがLIMITED-COORDINATION(限定調整済み)であることを示している。例として(Navy)は米海軍が使用することを許された調達仕様書であることを示す。また、( )が外れたものはCORDINATION(調整済み)仕様書で、全軍が事前に調整し使用を許可されたものである。スペックの履歴として米海軍や空軍が独自に制定したスペック(限定)から徐々に全軍仕様(調整済み)に切り替わっている。SHIPSはSHと同様、Naval Sea Systems Command のコード名。また、参考までにASはthe Naval Air Systems Commandのコード名で旧名をAirとして限定調整済みスペックである。
 
【調査】
試行したサンプリング試験で、NAS4004で規定されたサンプリング方法では、平均サイクルは77,080、最小サイクルは74,500であると規定され、第一サンプルではロット合格とも不合格とも判定されない。更に第二サンプルの試験が必要であるとの解釈でよいか。
【調査回答】
NASCステアリング委員会はここに表記されるサンプリング試験結果を以下のように解釈する。当該部品は第一次サンプル試験に不合格である。またその試験の結果、第2次サイクル試験に合格することはないと思える。よって、これらの部品は第1次試験に関して不合格品とするべきである。
【調査】
NAS410がRev.2に変更されたがRev. 1との違いを調査願う。
【回答】
NAS Rev.2は全面的に改訂されたもので、個別にRev.1と相違点の比較はできない。なお、NAS Rev.2は部分的にEN4179と調和する。
【調査】
MIL-DTL-7885/2Dはキャンセルとなり,NAS9310に移行した。そこでNAS9310のQPLはどうなるのか調査願う。
【回答】
NAS9310にはQPLは存在しないが以下のようなメーカが当該部品登録をしているので参考にされたい。NAS9310M-4-01の同等部品
Part Number Vendor Name
AF3553-4-01 FAIRCHILD FASTEN
AF3553-4-1 FAIRCHILD FASTEN
CR3553-4-1 FAIRCHILD FASTEN
CR355341 5 2 ALCOA GLOBAL FAS
CR3553-4-1 TEXTRON INC
CR3553-4-1 ALCOA GLOBAL FAS
HR3553-4-01 HUCK INTERNATION
M7885/8-4-01 MILITARY SPECIFI
MIL-R-7885/8 MILITARY SPECIFI
NAS9310M-4-01 NATIONAL AEROSPA
【調査】
SAE-AMS-2404とSAE-AMS-C-26074は、ともに無電解ニッケルメッキの規程が運用されているが双方運用の背景を調査願う。
【回答】
DOD(米国防総省)が採用に当たっての通知文書では、SAE-AMS-C-26074はDODからの要請でSAE-AMSに転換したMILスペックで、従来はMIL-DTL-26074F(その前はMIL-C-26074)である。また内容は従来のMILスペックのままである。同等タイトルのAMSスペックとMILスペックが独立して存在していたが、DODは1994年にこの民間スペックを引き入れ(採用)民活導入を図った。そのうえ、従来からのMILスペックはDTL(詳細)化させて、より特定向け仕様とした。しかし、このDTL仕様も2003年に民活対象とするためにSAEに移管した。今後SAEは移管されたSAE-AMS-C-26074の見直しを図り、その際に既存のSAE-AMS-2404との共用性あるいは統一性を図るものと思われる。
【調査】
MS25446C は Canceledとなっているが、移行先が不明である。そこで移行先を調査の上、教示ください。
【回答】
米国防総省の当該規格担当部署からの回答では、MS25446の移行(Supersession)先は無いが、MIL-L-3661/40の適用を推奨するとのことである。
【調査】
あるスペックを満たす品物を購入したい場合、どう調査すれば良いものか、悩んでいる。何か良い方法などあれば教示願う。
【回答】
スペック部品選択は米国防総省が公開するFLIS(Federal LogisticInformation Systems)を利用されることを推奨する。これはスペック部品番号かNSN(あるいはNIIN)番号から当該部品の形状、価格、管理情報および同等部品情報をリアルタイムで提供するものである。(注)FLISは現在Publog Flisから検索可能となっている。
 
【調査】
AMS-S-7124 A は現在、Noncurrent という状態にあるが、その理由は?また将来的にキャンセルされるのか、代替のスペックはあるのか教示願いたい。
【回答】
AMS委員会からの回答によれば、現在AMS-S-7124Aの公式移行先情報はない。しかし、参考情報としてAMS-S-8802あるいはAMS3276が移行先として推奨される。
 
【調査】
現在におけるMILスペック等DOD公式文書の件数を知りたい。
【回答】
本日付のDODサイト(ASSIST)からダウンロードしたDODの発表による公式数字である。これによると、現在のMILスペックACTIVE総数は32,962である。INACTIVE総数は8517、CANCELED総数は掲載される総数がASSISTに掲載されている総数で、特段に意味はない。なお、40万件以上ともいわれている。
【調査】
MIL-S-55541HとMIL-S-55286Eがキャンセルされたが代替番号を知りたい。また、55541(10)にある「DL-SM-B-649950」とは何か。
【回答】
DODから前者はASTM E1975、後者はASTM E1974がそれぞれの代替スペックであるとの回答があった。また、「DL-SM-B-649950」はS-250シェルター用RFIシールドキットである。
【調査】
MIL-S-8802 F Amed4で TY1 Dichromated Cured Sealantがキャンセルされ、AMS-S-8802 B で TY1 Dichromated Cured Sealant が復活した理由を知りたい。
【回答】
AMS-CE委員会からの回答によれば、Type Iの復活はボーイング社、ロッキード社および米空軍からの要求によるものです。Type IはMILスペック上では誤った環境問題で廃止されましたが、現在でも大量に運用されており、新しいスペックではその必要性から復活させたとのことです。
【調査】
AMS2694″Repair welding of aerospace castings”の3.1項に、”rough castings”という単語がありますが、この定義を教えてください。
【回答】
AMS-F委員会からの回答では「 rough castings」の公式定義はないが「 as cast」と同義語であるとのこと。この「 as cast」の定義は以下の通り。(SAE ARP1917にて定義)”Castings that have had gates and risers removed, and cleaned free ofmold material, but have not been subject to subsequent heat treatment.”
 
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