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民間スペックのあり方について 

2007.2.11

MILスペックがSAE-AMSのような民間スペックに移行(Superseding)する際に、必ず起こる問題としてMILスペックと民間スペックはどう違うのか、ということが挙げられます。そこで今回はスペック調査を通してSAEのAMS担当者から寄せられた「AMSスペックのあり方」をDCメール読者にも紹介します。MILスペックとの違いを学ぶ上で是非参考にしてください。

SAE-AMSスペックについて
はじめに、「SAE-AMSスペックの利用」という点について説明をしましょう。AMSスペックは多くの製造メーカとそのユーザからの総意で成り立っています。その意味でAMSスペックは「表記された特性による(これらメーカやユーザの)総意」であるといえます。
またAMSスペックはこれらメーカやユーザの自由意志によるスペックであるともいえます。そしてAMSスペックはこれら技術者に対して有益で、補助的な情報として利用されるものです。
「スペックの利用」に同意するということは、即ち経済的において無駄を省くことがすべてであるということです。また表記された特性に対して意見が食い違うということは、これらメーカとユーザが同意するのか、しないのかということになります。
AMSスペックに表示された寸法や製品特性は、SAEが総括的に検討を図ったうえ、すべてを考慮した結果の表記となっています。またすべてのスペックは、記述的に、また技術的に有効であることを保証するために5年ごとの定期的な見直しが行われています。
またAMSスペックは技術的にいかなる先端性があってもスペックが改訂される原因とはなりません。しかし設計や製造にはお金がかかるだけにコストに関する要因はスペック改訂の最も基本的な要因となっています。加工コストの削減もまたスペックの改訂版発行の重要な要因となっています。
AMSスペックは、航空宇宙分野における原材料の製造や使用を単純化することで大いに貢献してきました。製造メーカとユーザは一致協力し、自発的にAMSスペックを使用することでお互いの協調が強まりました。生産無くして使用もありえず、双方の努力は欠かせないところです。
ご存知の通り、AMSスペックは一部の特定用途向けに制定されたデータ文書ではありません。今日入手可能な素材が昨日あるいは明日のものと同一であることを保証するために、AMSスペックは最小限の重要な数値特性と必要な要求事項をまとめることでコスト削減を成し遂げてきました。
そこで例えば今回の質問ーAMSスペックの要求より薄いシート厚の使用は可能であるかーですが、SAEは製造メーカとそのユーザの合意によりスペックを制定していますが、上記のとおりSAEがスペックを創案しているのではありません。
AMSスペックは製造メーカが例えば新しい合金や新しい生産プロセスを創始するときに制定され、2人またはそれ以上のユーザがいることと保証されたスペックを制定するための、十分な機械的なデータの準備が必要となります。
また現在生きているスペックもこれらメーカやユーザからの要求に基づいて、改訂に必要な充分な情報やデータが提出されるならば改訂されます。
そこで例えば今回のように使用を検討している厚さ以上のシート厚のスペックについて論じていますが、いかなるメーカやユーザもスペックの特性値や他の要求事項の見直しを要求することができます。しかしながらそのためには、その特定な変更要求が繰り返し起こることを実証する十分なデータを提出する必要があります。
現在のスペック要求より薄いシートを使用することに異論は全くありません。しかしメーカがその材料を供給し、ユーザがその素材を使用するためにはスペックの変更を検討するための十分なデータの提供が必要とされるのです。
 
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