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旧式部品がもたらす弊害の排除について

2007.2.12

米軍の最新後方システム事情

最近読んだDSPジャーナル(DOD標準化ジャーナル)から、興味ある記事を紹介する。それは戦闘地域で運用される車両(例えば戦車)の部品が故障した事例である。その部品は(不運にも)旧式であったために交換部品が枯渇していた。米軍の後方システムはそのために日頃から準備されている。その
システムはどのような働きをしているのだろうか。

米軍の後方システム事例
米軍では稼動中のシステムや装置が故障した場合、米軍部品供給センタ(DSCC)に交換部品の請求(Requisition)をする。そこで米軍の後方支援(Logistics)システムがどのように機能しているか例を挙げて説明しよう。
請求元はある陸軍(Army)の車両部隊(Vehicle Unit)である。不運にもその交換部品が旧式部品(Obsolete Part)であるために、DSCCのシステムはその請求を品目管理責任者(Item Manager: IM)に委ねた。そこでIMは独自に調査を行い、この部品は旧式技術のためにどのメーカも製造していないこ
とがわかった。
IMは至急車両スペシャリスト(Equipment Specialist)に代替品を探すように依頼した。米軍の後方支援システムにとって、戦闘用品は常に最優先事項(Top Priority)であるからである。IMとスペシャリストは品目削減(Item Reduction: IR)データベースを検索した結果、その互換品(Interchangeable)があることがわかった。IMは請求元にその旨を報告し、代替品採用の検討を依頼した。請求元はその代替品が運用上の問題があるかを評価し、採用を決定した。その結果、請求元は改めて代替品の物品請求を起こすことになった。
しかしこの事例で残念なことは、代替品を見つけるためにかなりの時間を浪費したことである。戦闘用品の場合、時間的に遅れることの重要性は誰もが知っていることである。IMは、この請求元が代替品採用を決定するとIRチームに連絡をとり、(この代替品が)請求元で採用されたことを正式に通達し、今後同様な問題が生じても短時間で供給できるようにした。
では、どのようにしてIRチームは代替品を見つけたのだろうか。まずIRチームは旧式部品と同じナショナル物品番号(NSN)の部品があるかを調査する。通常、部品メーカが部品を生産中止する場合、数種類の同等部品がある。IRチームは常に総合的に品目削減(IR)について研究しており、できる限り代替品を探し出すことを研究している。通常、1つの互換品はいくつかの旧式部品に適用できる。
このIRデータベースはIRWSCと呼ばれるWEBデータベースで、すべての部品管理者(Custodian)やユーザが参照可能である。そのうえIRチームはこれら管理者やユーザ向けに電子メールを緊急配信する。これら部品管理者はユーザに代替提案をする調整役である。ユーザは自分たちのシステムや装置の部品が代替可能かを調査し、その結果がWEB上に掲載されることになる。
また、IRチームはもうひとつ重要な仕事がある。米軍後方情報システム(FLIS)に反映させるべく後方支援庁(DLA)に報告することでデータ更新をさせることである。その結果、この代替品はFLISに登録されることになり、例えば米海軍のイージズ艦の修理部品の互換品として即時活用されることになる。
このように、IRチームは常に連邦供給分類(FSC)や品目名コード(INC)を通してすべての物品についての見直しを図り、NSN情報をふるいにかける。そして重複が見つかるとこれらのNSNは上記のようなIRプロセスにより関連付けされ、IRデータベースで管理されることになる。これらは米軍全体で行われ、だれもがFLISとして利用できるようになっている。
IRチームは他方、メーカや契約業者(Contractors)と常時接触して、これら廃止(discontinuation)部品情報の収集に努めている。これらの情報が発見される否や、IRチームは調査して代替品や互換品を探し出すのである。このようにIRプロセスは旧式部品がもたらす弊害を排除するものとして大いに活用され
ている。現在IRプログラムは約20万件のNSNに影響を与えている。
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(原典:DSPジャーナル7/9月号)