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DOD装備品物流に関する2つの新しい規則

2010.2.15

害虫駆除とRFID
今回はわが国も無関係ではない2つの新しい規則を紹介する。ひとつはDODがEU(欧州連合)やUN(国際連合)との協力により施行したもので日本を含む主な木材輸出国からの梱包材は事前に試験をおこない認可されたものでなければ使用できないというもの。そしてもうひとつはDODあらゆる荷物や貨物に付帯する荷札(タグ)は今後RFID(Radio Frequency Identification)型にするというものである。なおこのRFIDは広い意味で日本ではICカードとしてお馴染みであるがDODでは荷札に採用するというもの。理由は高機能で全物流の一元化ができるうえ安価であるということは言うまでもない。【DCメール】 2010年2月15日 No.263

■梱包用木材の試験規定
 装備品の梱包や包装規定についてはMIL-STD-129やMIL-STD-130の適用を求められるが、なかでも自然樹木を材料として梱包や包装などに使用する場合の規定が厳しくなった。これは主にヨーロッパ(EU)による勧告を受けて国連(UN)の国際植物保護会議(IPPC)が提唱したものでDODは2008年からあらゆる装備品や物資が日本や中国、カナダ、米国産の木材(針葉樹)を使っている場合事前に次のような試験を行い米国木材規格委員会(ALSC)の認定を受けなければならないとした。
 これによると事前に梱包材を熱処理あるいは窯にて摂氏56度において30分以上乾燥させなければならないとしている。またその結果をALSCに報告して認証をもらいその結果を木材に表示しなければならないとしている。この理由としてEUならびにUNでは世界的に流行する木材に巣食う害虫の拡散を駆除(主に松くい虫など)するためとしている。特に国連は世界的に森林破壊が進む中そのうちの大きな理由に害虫による被害を取り上げている。DODはこのEU/UNの方針を受け、全てのヨーロッパ諸国への輸送品に関わる木材による梱包材を全てこの方針に準拠するするべく規定(DOD4140.65-M)を設けた。なおこの規定は2007年9月に発足し、2009年8月には改訂されている。
 一方日本では古くから植物防疫法が制定されおり、その中で梱包材としての木材の防疫が叫ばれてきた。しかしながら上記のごとく日本や中国やカナダ、米国といった国々が「名指し」で呼ばれている裏にはそれだけ木材輸出が盛んであるということなのだろうか。また日本の場合も含めて各輸出国向けの規制が輸出相手国の事情によって異なることで輸入規制に比べて一貫性がないことが原因ではないかと思われる。木材を含めた植物あるいは梱包材については農水省の植物防疫所で詳しく述べているので以下を参照ください。
  
植物防疫法施行規則
 
 なおDODがこの問題を取り上げたのは2002年の米陸軍(US Army)による欧州への物資輸送施行が最初であるが、その後ヨーロッパとの密接な関係やNATO諸国としての連合、そして国際連合との協調体制が活発化したことにもより今回のDOD規則として取り入れたものと判断する。
 
 
■RFIDタグの荷札着用
 RFID(Radio Frequency Identification)タグは近年日本でも流行しているICカードと広義で同類語と思っていい。実際は分類が複雑で多くの異なった機能や機構をもったPFIDだが、なかでもここで使用されるパッシブRFICタグは安価であり、また外部からのリーダによりタグ内部の整流回路が駆動し記録情報を読み取ることができるスグレモノである。
 日本ではSUICAやEDYなどのプリぺードカードや最近では銀行などのカードもすべてこのRFID型に変更されている。いわゆる従来のカードにくらべて圧倒的な情報量を蓄積し通信する機能が優れている点にあるからである。そのうえ安い。また他の方式、たとえばアクティブRFID方式に比べて通信距離は短いが利便性に長けている。
 DODでは全ての貨物、荷物などに付帯するタグ(荷札)をRFID方式に切り替え、その規則(DFAR252.211-7006)をもって全ての入札公示の際の規定にその旨を記載することとしている。これにより全ての集荷業務はもちろん検査、輸出入や保安業務がより一段とシステム化され全装備品の物流がリアルタイムで一目でわかるセキュリティ強化の一環策ともいえよう。なおRFIDについては以下のWikiを参照ください。
RFID – Wikipedia
 
 
 
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