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NATOによる国際標準化戦略とわが国の対応

2010.3.31

eOTDとPLIB
ISO 8000 カタログ・マネージメント・システムの標準化をめぐる動向と題する日本機械工業連合会(JMF)による報告書を読む機会があった。しかしながらわが国が直面する問題ーNATOカタロギング・システムの位置づけと理解ーについて情報の欠落がみられた。わが国の新しい防衛ロジスティックス情報システムのあり方を標榜する弊社としては、何故NATOがISO8000やISO22745の国際標準化を推進するかについては十分に研究してきたところであり、またもしわが国がNATOスポンサー国として加盟していたら、米国やNATOが推進するISO8000批准に対してわが国は反対票を投じたのであろうか、という素朴
な疑問が残った。DCメール 2010年4月1日 No.266

NATO国際標準化戦略
DOD や NATO での電子商取引の実績を元にした ISO 22745 (Open TechnicalDictionary: OTD)や ISO 8000(データ品質管理) の提案などをとおして、米国は再び SC4 の主導権をとろうとしており、フランスやドイツはその動きを気にしている。本規格の狙いは企業から提供される、自社の概要、所在地、商品、サービスなどのデータに焦点を当てたもので、ここで認証された情報源からのデータを受領した企業は、そのデータに曖昧性がなく、発生源の追跡が可能である。
以上は同報告の一部である。弊社の見解ではこれらの内容は将にこれらのサービスがFLISやNCSを指していることは明白である。米国やNATOはこれをもって国際標準化することで次世代ロジスティックス情報システムの構築と運用がより強化(迅速、正確そしてコストダウン)されるものであることは再三説いてきたところである。そしてこのことはNATOが推進するTier1,Tier2国になるべく検討を重ねるわが国の防衛(ロジスティクス部門)担当にとってはさほど新しいことではない。
しかしディクショナリデータの XML 表現に関する類似規格を提案した ISO13584チームと ISO22745 チームに対して、共通モデルを開発することが勧告されたが、勧告の通りにこれが実施されれば、SC4 活動は更に大きく飛躍することとなろう。日本としてもこのチームの今後の実施状況を注視すると共に、WG13に積極的に参画することが必要である。
この記述は改めて現在NATOが推奨するISO22745(eOTD)とわが国が推進するISO13584(PLIB)との共有モデルの開発を示唆しており、将来のTier1はともかくTier2における国内産業界の摩擦や軋轢を出来るだけ早期に解消しておくために重要な課題となる。
そのためには今後とも防衛ロジスティクス部門担当者はわが国の当該規格における国際標準化戦略と国内産業の動向に熟知しておく必要があり、また将来可能性があるNATOスポンサーシップ加盟とそれによるNCS運用、NCB設立など多くの関連情報の共有が必要とされよう。
わが国の対応について
今わが国は韓国やオーストラリアなどが既に正式加盟して運用しているNCSを導入し世界の装備品DBの一翼を担うような事態になることが予測される。私見ではあるが米国を中核とするNATOは既に1600万件を超える技術仕様や特性値を含む世界最大の装備品DB(NCS)を共有しており、国連物資をも含め世界50カ国の取得業務の迅速化、コスト削減を達成するためには彼らの新・国際標準化戦略ー電子商取引による装備品運用は必至である。わが国が加盟した場合、NATOシステムの運用(NCB)は当然であり防衛産業のみならず多くの産業がこぞって登録し、自社製品が装備品として世界の国々に取得される可能性をもつようになる。これは停滞する国内産業にとっては輸出拡大策として大いに喜ばれる可能性がある。
ISO8000立ち上げ(NWI)の是非を問う各国の投票の中で、わが国が反対を表明するなか、韓国やオーストラリアや中国までもが賛成に回ったことは現在のNCSシステムの影響力をまざまざと見せ付ける思いがする。もしわが国がNATOスポンサー国であったなら果たして反対票を投じたのか。いずれにせよわが国においては横断的な情報共有の対応と連携した戦略を取らない限り、国家としての総合的な戦略が立たず他国に対して機先を制することはできないだろう。