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米国の多国間標準化協定と相互認定制度

2010.4.29

米国防総省(DOD)は永年取得改革を進めてきたが、自国だけではなく同盟諸国との間でも装備品の標準化活動を強化してきた。なかでもNATO諸国やカナダ、オーストラリアといった文化的にも米国に近い同盟諸国ではDOD主導による標準化政策や相互認定制度を運用しており、着実にロジスティックスの世界でも同盟体制の強化を図っている。またこの流れは韓国を代表とする文化的にも異なるアジア諸国をも確実に覆い初めている。今回は米国のロジスティックス世界戦略としての標準化協定(ISA)や認定品の相互活用制度(NQA)について報告する。 DCメール 2010年5月1日 No.268

米国の海外諸国との標準化戦略
DODが目指す国際標準化協定(ISA)とはDOD主導による同盟諸国 との相互運用性の構築による広域且つシームレスなロジスティックス体制の確立にある。DODのISA推進計画によると米国はこれら国防標準化政策を広く同盟諸国へ推進することで相互運用性を高め一貫した同盟諸国間の国防取得計画の実現を可能にするとしている。同盟諸国の標準化とは装備品やその手続き、戦術および主義など多国籍軍がともに効果的に作動するために重要な成分の1つであり、実行可能な範囲は基本的な米国国防の基本方針となっている。相互運用可能なシステム、交換可能なシステム、あるいは共通システム、 サブシステム、設備、ソフトウェア、コンポーネント、 部品、およびコンサルテーションを含む消耗材、 コマンド・コントロール(C3)、弾薬、燃料、供給などいくつかのものあるいはすべてが同盟国の中で互換性をもつ運用構成となっている。 このISAは相互運用の保証としてまた同盟国との作戦即応性や協力にとって重要である。 ISAは統合や連合作戦を増加させ、情報技術を達成させ、後方支援を改善し、そして技術的な洗練を増強させる。その運用上の要求を保証するために連合作戦は識別され、文書化され、利用可能で、容易に作られることが重要となる。現在米国は多数の同盟国と協定を結んでいるが活動のほとんどは次に示す5つの主な組織に基づいている。これらについてその概略を以下に紹介する。
北大西洋条約機構(NATO)
NATOは 北アメリカとヨーロッパの26カ国 また23の平和のための協力協定国で構成された同盟である(数字は2007年)。NATOの基本的役割はその加盟国の自由および治安を政治的・軍事的手段によって保護することである。米国法(USCTitle10、セクション2457)では米軍が北大西洋条約の下のヨーロッパで使用されるために取得した標準化設備が他のNATO加盟国によって使用される設備と同様の目的のために相互運用に必要なレベルまたは程度とされることは米国の政策であるということである。さらにDODはより大きな主義および戦術互換性に到達するためによりよい基礎を提供している。NATO標準化機構では標準化を有効にする権限、要求、また従属する部隊を割り当てること、標準化に関連する活動に作用することなどが業務となっている。
米英加豪陸軍連合(ABCA)
ABCA(AMERICAN、BRITISH、CANADIAN、 AUSTRALIAN軍)は相互 運用と標準化を促進する国際的なプログラムである。米軍および英国、カナダおよびオーストラリアの各軍はABCAにあるプログラムが相互運用上連合力の能力として定義され、適切なパートナーとしてまた割り当てられた使命の実行ともに訓練される。ABCAのための任務遂行プログラム・オフィスは米陸軍にあり、ABCAによる成果物である相互運用を増強するための規格、出版物、データベース、また援助を報告する。またプログラム・オフィスにこれらの成果物は管理される。
航空宇宙空軍相互運用会議 (ASIC)
ASICは旧航空標準化として知られていたオーストラリア、ニュージ ーランド、カナダそしてアメリカが結合した調整委員会をASICとして位置づけ国際的な空軍組織を含む構成となっている。現在と将来の航空宇宙における増強やミサイル、戦争能力などを共同 連合した相互運用性を高めることがASICの使命である。また目的は標準化によって実現される。ASICの任務はワーキンググループおよびプロジェクト・グループ構造による遂行となっている。
通信電子会議(CCEB)
CCEBはオーストラリア、カナダ、ニュージーランド、英国、そして米国が結合した通信電子会議である。結合した5カ国は各加盟国からの共同の軍事通信、エレクトロニクス(C-E)構成、コマンドおよびコントロール、コミュニケーションそしてコンピュータ (C4)から成っている。
海軍C4機構(AUSCANNZUKUS)
AUSCANNZUKUSはオーストラリア、カナダ、ニュージーランドそして米国の海軍のC4機構(AUSCANNZUKUS) が結合して生じたもの。共同戦闘を成功裡に終える使命のために各国の知識共有を横断的な組み合わせにより促進させている。作戦や一連のドキュメントのもとでネットワーク・ワーキング・グループが概念を創出している。
相互認定品運用制度(NQA)
米国と他のNATO諸国間では認定品の相互運用制度がSTANAG4093に よって決められている。米国では自国のQPLやQML製品のリストをNATO諸国の仕様書に運用できるようにしている。また同盟国からのQPLの受理や認定業務の受理もおこなっている。 DODが取得で使用する同盟諸国の認定品仕様書を受理する場合、国際協定によって準拠される場合以外は管轄する全米認定機関(NQA)が同盟諸国のQPLやQMLを決定している。また製品情報も同盟諸国の認定承認の根拠となるために試験データ等が必要とされることもある。これらデータにはテスト手順や試験装置、方法、測定および完全な試験結果、計算および分析の日付およびテストする職員や他の記述なども含まれている。
DODの認定に追加データや試験が必要な場合は、米国NQAが通知をする。DODが手続きや規則を提供することで、相手国のメーカは要求される認定評価や認定承認に使用な仕様書により追加試験を受け認定されることができる。これらデータを提出するコストに対する責任はそのメーカーと米国NQAの間の交渉で決定される。なお米国NQAが相手国メーカーの製品を削除する場合は、相手国NQAにその理由を通知しなければならない。DODはこれら同盟国との認定制度の確立や相手国のメーカーや製品の維持を図るようにすることが求められている。
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