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【F-35フォーラム:インダストリー・デイ】

2012.12.25

ーALISとSCM企業間競争が激化ー

この11月14、15の両日、米国防総省(DOD)はインダストリー・デイ(産業の日)と称したF-35の維持管理に関するパブリック・フォーラムを首都ワシントンで開催した。世界中から参加した企業は日本企業も含め100社を超えておりDODはSCMやALISなどF-35の維持管理における4分野のコスト削減プレゼンテーションをおこない新たな企業間競争の必要性を強調した。これは今後50年間におけるF-35維持管理(O&S)コストが1兆ドルを超える可能性があることから予算削減が求められるDODは急遽O&Sコストの削減を模索しはじめたことによるものである。またこの背景には米国政府がロッキード・マーチン社(LM)の開発製造コストが4000億ドルに上昇したことの苛立ちとALISに欠陥が見つかったことなどによる不信感があるものと言われている。 (DCメール 2013年1月1日 No.332)

■F-35フォーラム:インダストリー・デイ
米国防総省(DOD)はF-35の維持管理(O&S)にかかわる企業間の競争をすることでコスト削減の可能性を模索し始めた。なかでもロッキード・マーチン社(LM)が提供するサプライチェーン管理(SCM)と自律型ロジスティクス情報システム(ALIS)にかかるコストを大幅に改善したいとしている。
この「業界の日」はDODが潜在的なビジネス•ソースを識別することを目的としF-35を支援するハードウェアやインフラサービスの幅広い範囲を提供するための企業の参加を期待したものとなっている。
主催したF-35ジョイントプログラムオフィス(JPO)は「我々はプログラムに競争を注入することにより、F-35のライフサイクルコストを削減したい。我々の目標はPBL戦略を維持することにあり100社を超える参加企業によるコストを引き下げのために長期的なF-35O&Sソリューションの提供を期待したい。これは価格の余力性、透明性、予測可能性および説明責任のある巾広いF-35の目標を支援するものである。」としている。
今後50年間においてF-35を運用し維持するための総コストは現在の試算ではインフレ率及び予想される燃料費を含めて1兆ドルを超えているとし、このF-35維持の推定値は米国および外国の間でステッカーショック(値札ショック)を起こしている。
この「産業の日」フォーラムは主に4つの重点分野について行われた:①サプライ•チェーン•マネジメント(SCM)、②輸送用コンテナ等の訓練シミュレーション、③支援機器、そして④装備品保守およびスペアを管理するために設計された包括的なソフトウェア集約システムである自律型ロジスティクス情報システム(ALIS)であり当局者は劇的にそのコストを下げることを期待している。
一方F-35のO&Sプライムベンダーであるロッキード・マーチン社(LM)の幹部は「業界の日」に「出席する。F-35全ての機種に最善を提供すると確信している。」と述べている。LMは既にJ-35の開発に関与したイギリス、カナダ、オーストラリア、イタリア、トルコ、デンマーク、ノルウェー、オランダと署名しPBLを提供することで合意している。「現在我々はO&Sのプライムベンダーでありその役割に徹するのは私たちの意志である。現在フロリダの訓練基地で航空機ロジスティクスサービスを展開しており、カリフォルニア州やネバダ州、アリゾナ州の各拠点においても我々は新たな戦闘機の長期持続に関与し得るために彼らの地元産業を識別するために国際的なパートナーと協力している。」としている。
ところで現在までフォーラムに参加した企業のうちほとんどが複数の分野に興味をもっており、そのうち43社がサプライチェーンへの関心を示し、38社がトレーニングとシミュレーションの管理、31社が支援機器そして41社がALISに参画する興味を持っていると報告されている。F-35は開発当初から高騰するコストや遅延する納期などの問題で揺れ動いてきたが、ここにきて一兆ドルを超えるともいわれるライフサイクルのO&Sコストの説明責任が問われることになった。今回の米国政府主導による「産業の日」が世界各国からの新しい企業の参画を呼び込むことになるのか、F-35のO&S問題はこれからが正念場であるといえるであろう。
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