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【MILスペック認定品】

2014.3.17

-正規品の取得問題についてー

米国防総省( DOD )はMILスペックの認定品を米国内に留まらず広く海外諸点で生産活動を推進している。またSAE-AMSなどへのスペック移行で認定品や認定行為については双方の見解の相違もある。MILスペックをデファクト・スタンダードとするわが国の防ある衛産業界にとっていわゆるMILスペックの認定品取得をどうするかという問題は常駐化しておりユーザは個別に的確な対処が求められているが認定品の調査精度を高めることは企業の信頼性を高めることになるとして厳正な対応をしなければならない。以下はデータクラフトがピンポイントでおこなう認定品調査の事例を紹介しながら正規認定品取得の重要性を訴えるものである。( DCメール 2014年3月15日 No.361)

■MILスペック認定品
DOD は米国内での認定品の生産に留まらず取得改革や世界経済の変動( グローバリゼーション )により海外諸点での生産活動を推進している。そこでDODのMILスペック認定品についての実態を事例を含めながら紹介しよう。
 
DODの装備品システムには電子・機械部品はもとよりあらゆる装備
品が満載されており適正な装備システム性能を維持するために正常な機能が発揮されることが求められている。
DODの装備品要求は米国防標準化計画( DSP )の管理下におかれ調整済みのMILスペックや関連する製品の認定作業が行われている。そして1980年代まではこれらの装備品はほとんど米国内で生産されていたが取得改革や世界経済の変動により急速に海外諸点での生産に移行している。
 
MILスペックには各種制定部門( PA )があり軍や製造メーカが求める「性能要求」を策定し各部門との調整作業を行っている。MILスペックが制定され発行されると認定部門( QA )は部品を供給するメーカの選定を行い装備品の認定を行う。この認定作業にはQAのアセスメントすなわち製造メーカへの認定検査や生産能力、試験方法などといったMILスペックに準拠した性能を発揮する装備品を保証するための評価を行っている。
この評価には細部にいたるドキュメントや製造プロセスの調査や現地での監査などが含まれる。そしてこの認定プロセスが終了すると製造メーカの品質システムや生産設備、テストラボといったものが生産能力ありとしていわゆる認定証が交付されるのである。
即ちメーカは認定された装備品製造プロセスを用いてテストラボでMILスペックに要求される認定試験を行いその試験結果はQAに報告され合格審査を取り付けることになる。QAはその装備品がスペック要求に適っていることが確認されるとその装備品およびメーカはQPD( Qualified Product Dataset)に登録されることになる。
近年DODの装備品生産は大きくグローバル化しておりそのために標準化政策は改正され生産を海外諸点でおこなうことを認めるところとなった。
これはNATO等諸外国とのISA( 国際標準化条約 )に沿って達成され諸外国とDODとの互恵な認定プロセスのルールの取り決めとなっている。ISA条約が米国との間に存在する諸国ではお互いの国はNQA( National Qualifying Activity )を適用することになる。
また米国やDODとのISA条約を締結していない諸外国ではすべての監査業務、試験報告、認定などは米国NQAの責任下米国内でのプロセスと同様となる。
そして当然海外出張などの付加コストは認定を希望するメーカが負担することになる。この地球規模の供給体制への移行は急成長が望まれている。
 
■MILスペックの民間移行と認定品
ところでMILスペックがAMSなどの民間スペックに移行する場合認定品は用意されるのかまた必要な場合どのように探したらいいのか。これは結構わかりにくい問題を露呈している。
 
事例としてSAE-AMSスペックについて説明をしたい。SAEによればAMS文書は多くの製造メーカやユーザの意見の総意から成り立っているとされている。だからAMSスペックは任意(ボランタリ)により表記された特性の最良なる集約の表れであると言われている。
民間規格であるAMSスペックは有益な付加価値をメーカやユーザに与えておりすべての関心事は経済的な節減である。リスト表記された特性に対しての見解の相違については常にメーカとユーザが協議しSAEが総括的な審査を行ったうえすべてを考慮した結果の表記となっている。しかしSAEによれば法的理由によりSAE規格はQPLを含まずまたQPDも関与しない。
そこでSAEは外郭団体として多くのMILスペック認定品問題を解決するためにPRIを創設した。SAE自体が任意による業界機関として認定品制度を維持できないために外部組織として創設したのである。
PRIはメーカから MIL-QPL を PRI-QPL に「創始」することを要望されこれらのメーカは MIL-QPL 認定業者であることの証明として情報を提供しまたQPG( 品質製品グループ)が承認するとPRI-QPL に掲載することになるのである。
■認定証( Letter Of Authorization )の確認
MILスペック最新版に適合した認定品の取得は防衛産業界にとって必要不可欠なものとなっているが認定品を定め認定品目表として公表するDODではQPDの最新版公表の維持が非常に厳しい現状にあるためにユーザにとって認定品の「正式」取得をどうするかという問題が浮上している。そこで永年データクラフトはこのような認定品に関する調査業務をDODや認定品メーカに対して行っておりユーザから
多大な評価を得ていることを紹介する。
DODはQPDには記載されていない認定品についてはDOD認定機関による認定証( Letter Of Authorization )の確認を行うべきだとしている。メーカがスペック品を生産することを承認される場合当該メーカはDOD機関からの正式認定書を持っているからだ。したがってメーカが認定資格を与えられたことがリストされていなければユーザはその認定書の提示をメーカに要求することができるのである。
 
■認定品調査の重要性について
一般に認定品の調査精度を高めることは企業の信頼性を高めることになると言われている。そこでデータクラフトの認定品調査に関する回答がユーザにとって非常に重要度が高く慎重に扱われているのはユーザの製品が正規認定品を使用しているか否かが取引先との間で重大に関与しゆえにユーザの調達業務に多大な影響を与えるからである。
 
例えばこのような事例がある。FED-STD-595 は色指定の規格である。そこでユーザはそのなかのある指定色を必要としたが当該色はQPDに記載されていない。そこで当該色を既存の調達ルートで調査したところあるメーカの製品が認定品として該当し認定番号が付与されているという情報を得た。しかしながら既存の調達ルートからの当情報は調達を決定するユーザ現場としては情報精度が低くそれだけで調達を決定することはできないとした。
 
データクラフトはDODに対して当該製品が認定品として未登録であるが認定品として運用可能か否かを確認した。その結果当メーカから当該製品がDODから認定を受けているエビデンスが提出された。またDODもその事実を肯定した。これによりユーザは安心して未登録であっても当製品を認定品として新たに調達することができたのである。
 
 
認定品に関して重要なことは常にユーザの立場から必要に応じて問題を解決する必要があると言うことである。ひとつのスペックが改版されたり廃止されその結果認定品や認定業務自体が大きく変化する裏側にはスペック制定者側如いてはそのスペックや規格に絡んだ多くの関連団体や企業等の事情というものが反映されておりユーザはこういった複雑な事情を理解したうえで取引先に対する安心した回答を用意することが求められているからである。
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