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【新・防衛装備行政に望むこと】

2014.7.1

ーMILスペック整備・標準化体制の強化ー

いよいよ防衛装備庁の発足のもと、新しいわが国の一貫した防衛装備行政が始まる。そこで戦後からわが国の防衛産業界が常時依存してきたMILスペックをデファクト標準として更に掌握するために整備体制の強化と新たなる標準化体制の確立をお願いしたい。弊社はコンサルティング業務として米国防総省(DOD)による公式のMILスペック・インターネットサービス(ASSIST)を幅広くわが国に紹介し、またDODの協力のもとMILスペック調査や研究を重ねているが、わが国ではまだまだ知識が不足しておりまた誤解も多いのである。(DCメール 2014年7月1日 No.368)

■望まれるMILスペックの整備・標準化体制の強化
10年前に提言された日本工業標準調査会編「航空・宇宙機技術分野における標準化戦略」の報告によると、わが国の航空・宇宙機分野の標準化活動は従来からMILスペックや海外航空機メーカのスペックに依存してきた状態であるため自ら整備する意識が不足しており今後ともデファクト標準としてのMILスペックを常時把握できる態勢の整備を検討する必要があるとしている。そしてこの問題は現在においても根本的に解決されていない。
わが国の防衛・航空宇宙産業では必ずMILスペックが改訂されるたびに内容を精査し部品や材料の購入(調達)を決定するようにしているが現実には中々思う通りにはいかない。事実、受入れ検査時に異なる版による納品問題が発生したり、また使用できなくなった旧版スペック部品や材料が倉庫に大量に眠っている実態がある。
そのうえ海外取引先から「情報の遅れ」を指摘されたり、認定品が中止されたことを知らずに発注したり代替品の納期遅延を招くなど、MILスペック管理はもとより部品管理や資材調達にまでかかわる諸問題が数多く残されているからである。
これらの理由のひとつにMILスペックに記述された言葉のひとつひとつを理解し、正確に把握することが求められる現場ユーザにとって改訂により生じる見解の違いや表現の違いに十分に対応する暇(いとま)が無いのが現状である。またMILスペック特有の内容や構成に慣れていなく、外国語に不慣れなスペック・ユーザがいることも現実の問題である。これらスペックの内容や改訂にまつわる技術的な解釈問題は潜在的な問題として業界全体のテーマでもあり、結果的にユーザ企業の潜在的なコスト要因となっていることも事実である。
弊社は1999年にDODがインターネットにMILスペックを開示するといち早く防衛省や防衛産業界にその利用を促した。また同時にその生態を常時監視してきており、生成された各種データや関連情報をタイムリーに幅広く提供してきた。
その主旨はわが国ユーザがいち早く必要情報の入手と分析をすることで遅れることなく多くの問題を早期に解決するためのものである。しかしながら実際にはわが国特有の問題が依然として取り残されているのだ。
MILスペックを利用するユーザにとって自らの製品に関連する文書が改訂されたり移行したりすることで対応を誤ると死活問題となる場合がある。現在では自らが進んで取り組まなければならない数多くの変更情報をどのように見極めることができるのだろうか。また業界全体を覆うコスト削減や人員縮小もあいまって専門家を十分に配置できない環境もある。しかも契約遵守や納期管理の中で最新版スペックに原語で記載された新しい試験や検査方法を習得しなければならず、わが国ユーザに突きつけられた課題は山積している。
データクラフトはこういった問題に真剣に取り組んできたがその結果、スペックの技術調査に踏み込んで現場の設計ユーザから感嘆と賞賛の声をいただいている。またDODやSAEなどの民間規格団体からはスペック問題解決に感謝状をもらうことが少なくない。
わが国のMILスペックユーザはスペックが改訂されるたびに内容を精査し部品や材料を決定するが現実問題としてあらゆるプロセスにおいて多くの障害が生じている。ユーザがこれらの問題を解消するためにはユーザの環境を整備してスペックに関する情報収集能力や理解力、問題解決能力を高めることはもちろん、関連部門や取引先に対しても知識レベルの向上、問題解決能力のスキル・アップなど、横断的な意識改革を徹底する必要がある。そして何より大切なことは発行元であるDOD各部局とのコミュニケーションを図ることが何より大事であることは多くの事例が証明するところである。
 
弊社ではMILスペック・コンサルティング業務として調査依頼を受け付けている。DODやSAE、ASTMなどのスペックや規格などの調査依頼数はすでに500件を越えており中には技術的な質問点や不明点あるいは認定品や枯渇した装備品の調査なども含まれる。なお弊社ではユーザの了解の元これらの事案の中から一般に周知すべき調査内容については率先して公開している。
弊社ではDODの協力のもと今後ともMILスペック・コンサルティング業務を鋭意推進していくが新しい装備行政が始まるなかMILスペックに纏わる問題を解消し抜本的な整備体制の強化と標準化体制の確立を推し進めてもらいたい。
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