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【NATOが弊社講演を世界に発信】

2016.1.1

―注目されるわが国のNCS導入ー

明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いいたします。

さて、2015年12月に刊行されたNATOのAC/135ニュース・レターは、9月に弊社が行ったNATOカタログ制度(NCS)の講演の模様を写真入りで掲載した。そこで2016年の新春を飾るDCメールでは、この内容について紹介し、その背景を解説する。なお掲載記事の詳細は下記に添付したURLを参照ください。(DCメール 2016年1月1日 No.404)

http://www.nato.int/structur/AC/135/news/newsletter23-Dec2015.pdf

■弊社のNCS講演会を世界に発信
NATO AC/135部会の最新ニュースレター(2016年1版)が去る9月24日に弊社が行ったNCS講演会を次の通り紹介した。詳しくは以下のURLを参照下さい。
http://www.nato.int/structur/AC/135/news/newsletter23-Dec2015.pdf
【日本のNATOカタログ制度についての活動】 
NATOカタログ制度( NCS )の講演会は講師にデータクラフト社の服部社長及び服部取締役を招き、日本航空宇宙工業会(SJAC)と日本防衛装備工業会(JADI)との共催のもと、この9月24日(木)グランドヒル市ヶ谷にて開催された。この講演会には経済産業省、防衛省、陸海空の自衛隊および民間企業から110名が出席した。この講演は日本が新しい防衛装備移転三原則の元、NCSを国内に導入する論議を始めるきっかけとした。
(解説)
現在わが国は防衛装備移転に纏わる技術情報等の流出防止策を知財戦略と相まって検討している。海外に装備品を輸出するということはわが国およびわが国メーカ固有の技術というものが流失する危険性を秘めており、特にその技術情報の取り扱いには慎重にならざるを得ないのである。
そこで今や世界標準となったNATOカタログ制度( NCS )への取り組み無くして海外移転装備品の技術情報流出は避けられない可能性があることが弊社の調査で明らかになった。当講演会はこのことをわが国では初めて明らかにしたもので関連する監督官庁やメーカが多数聴講した意義はここにあったのである。
NCSとは NATO Codification System ( NATOカタログ制度 )の略称で、米国カタログ制度( FCS )を基に構築された世界標準の防衛装備品データベース・システムである。現在、欧米諸国をはじめ世界の主要39か国では既にこのNCSの相互運用が行われている。わが国は2011年にこの制度に加盟したがNCSの採用およびその運用には至っていない。
このたびNATOのNCSを統括するAC/135部会はその最新ニュース・レターで弊社の活動を広く世界に伝えたが、弊社が講演するにあたってはNCSの現状を詳しく解説して協力してくれた。また、同時に世界各国における動向や最新テクノロジーについても多くの助言を得た。わが国民間企業として初めて会得したNATOからの情報と協力は弊社が今後ともNCSコーディネータとして活動していくうえで極めて大きな意義があった。
さて今回の講演で弊社が特に指摘した点はNATO諸国を中心としたNCSの共同運用国(39か国)では、装備品を取得する際にNSN(NATO物品番号)として登録・運用しなければならない規定があるということである。NCSでは運用する装備品はすべてNSN登録し各国が共同して運用する。そこで弊社はわが国も海外諸国に装備移転をする以上NSNを採用する時期に来ていることを説いたのである。しかし同時にもうひとつの問題も提起した。
これはわが国のメーカにとって大変重要な事案であるが、これら海外の装備移転先では装備品を登録するためにその技術情報の提供を求めるという点である。言い換えればNCSに登録するすべての装備品は大なり小なり装備品の型式や定格、特性や仕様といった技術情報を登録することが義務付けられているのである。だからこそNCSは利用価値が高く、数多くの技術・管理情報が埋め込まれた信頼あるロジスティクス情報システムとして世界中から認められているのである。
ところでこれら登録に必要な技術情報は装備品によって異なる。非常に簡単な特性や仕様だけで済むものから材質や試験データ、詳細性能に至るまで細かな技術情報が求められる装備品もある。そしてこれらはすべてNCSで定義づけられている。
また一方ではNATOを中心とした加盟国間においてはCCCと呼ばれるカタログ制度契約条項がある。この条項では装備移転の際に取り交わす調達契約に付随して技術情報の提供も合わせて合意し、署名しなければならない規定がある。この規定や条項についてはわが国がこれから学ぶ点があり大変重要な事案であると思われる。
まさにロジスティクスの世界においてはお互いの国々が情報共有することで成り立っている。しかしながら、この情報共有の元になる情報提供は各国が決して画一的、強制的なものではなく、各国の、あるいは各メーカーの立場を申入れ、聞き入れ、そして合意する規定でもあるのだ。決して無理をして結ぶ約束ではなく合意に基づく約束であるということも知っておかなければならない。
そして巻頭で述べた不用意な技術情報の流失に繋がらないように予め方策を取っておく必要がある。弊社では移転装備契約の際に移転先で行われるNSN登録やそれにより引き起こされる技術情報の提供が決して不用意なものであってはならないと説いた。またそのための方策を今後とも示しながら提言を重ねていく予定である。
ところでわが国と北大西洋条約機構( NATO )との繋がりは2007年に安倍総理大臣による初めての訪問において始まったとされており、具体的な活動は端緒についたばかりである。またわが国の装備品カタログ制度は米国などNATO諸国との共通性や相互運用性の点においていまだに大きく隔たりがある。
 
簡単に紹介するとNCS加盟国はNSNと呼ばれる非軍需品を含む全ゆる装備品に13桁の世界共通の番号が付与され、既に1,830万件がNCSに登録されている。また、NSNには膨大な技術情報や管理データなどのいわゆる装備品データが登録されており取得はもとより在庫管理、SCM、メーカ情報、代替品情報等の根源となっている。
一方わが国の自衛隊の装備品カタログ制度は米国などNATO諸国との共通性や相互運用性の点においては一部においては共通しているものの未だに隔たりがあり、今や世界標準となったNCSへの取り組みが喫緊の課題となっている。
弊社はこれまでNATOが開催したNCSカタログ制度の研修を受け、NCSコーディネータとしてNATO AC/135部会との信頼関係の構築に全力を傾けてきた。そしてこのたび弊社は初めてAC/135の協力を得てNCSカタログ制度の調査や研究・分析を行い、NCSの現状をわかりやすく紹介し、同時にわが国が装備移転をする際に直面する課題と方策を纏めた研究と提言を行っていきたいと考えている。
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